◆サンタクルス日本病院◆創立83周年記念式典=「日本病院」誇りに思う

レストラン「タルシラ」で乾杯する来賓の方々

 サンタクルス日本病院(HJSC)は6月28日、サンパウロ市のホテル「InterContinental」で、同病院創立83周年記念式典を行った。
 HJSCの歴史は、1926年に設立された「在ブラジル日本人同仁会」から始まる「同仁会」は在伯日本人の医療及び衛生環境の整備を目的に、青柳郁太郎海外興業株式会社社長らによって結成された。》を
《この団体は、在伯日本人の医療及び衛生環境の整備・保健知識の普及などを目的に、高岡専太郎医師らが中心となって結成した。
 34年に皇室からの御下賜金を始め、多くの移住者が資金を出し合い、移住者向け病院の建設を開始。39年に当時南米最新鋭の病院の一つとなる日本病院(Hospital Santa Cruz)を完成させた。
 その後、日本とブラジルが第2次世界大戦で敵国同士となると、同病院は適性国資産としてブラジル連邦政府の管理下におかれた。89年に日系人らによる病院返還運動が起き、90年に経営に日系人も参画する協定が結ばれ、名称も「日伯慈善協会サンタクルス病院」となった。
 2021年に、日本からの支援に対する感謝と設立当時の呼び名への回帰を目的として、4月29日の同院創立記念日を機に「サンタクルス日本病院(HOSPITAL JAPONÊS SANTACRUZ)」に改名した。

挨拶をする林大使

 式典には林禎二在伯日本国大使、小室千帆在サンパウロ総領事館総領事代理、江口雅之JICAブラジル事務所所長、市川利雄ブラジル日本都道府県人会連合会(県連)会長、HJSCと学術交流を行う筑波大学の永田恭介学長らが出席。石川レナトブラジル日本文化福祉協会会長からはお祝いのビデオメッセージが寄せられた。
 式典は田中アウレア理事により進行され、コロナ禍先亡者に1分間の黙とうが捧げられた。伯日両国歌斉唱の後、HJSCの歴史を紹介する動画が上映された。
 来賓挨拶が行われ、林大使は「HJSCは、日本の医療機器を使用し、日本特有の『おもてなし』の精神を持っている。こうした立派な病院が『日本病院』と呼び親しまれていることをとても誇りに思います」と述べた。
 小室在サンパウロ総領事代理は、日本人が日本移民の歴史を理解することの重要性について語った後「日本政府はこれからもHJSCの支援を続けます」と述べた。
 市川県連会長は「母は『何かあったら日本病院に行きなさい。あそこは私たちの病院よ』とよく言っていました。HJSCは私たち日系人にとってまさに安心の場でした」と日系社会におけるHJSCの存在について語った。
 その後、コロナ禍中に懸命な働きをした職員らを表彰。代表表彰されたエザキエル・オリヴェイラさんは、コロナに罹患し、現在も疲労感や記憶力の低下などの後遺症を抱えている。エザキエルさんの表彰に立ち会った病院関係者は、コロナ禍中の医療現場の光景と医療従事者らの奮闘を思い出し、強く感動した様子だった。
 筑波大学附属病院の原晃院長からのお祝いのビデオメッセージが披露された後、永田学長によるつくば市が取り組む都市のスマート化施策についての講演が行われた。
 二宮正人HJSC評議会副議長が閉会の挨拶を行い、参加者らは同ホテルのレストラン「タルシラ」へ移動。筑波大学の福重瑞穂助教授による乾杯の音頭で、軽食を取りながらの歓談を楽しんだ。

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