在外投票=保守王国日系社会に異変=自民党から参政党に鞍替え続々?=日本に電話、選挙運動の手伝いまで

2016年の参議院選挙での在外投票の様子
2016年の参議院選挙での在外投票の様子

 従来から日系社会には自民党支持者が多かった。だが、今回の参院選では不思議なことに新しく生まれたばかりの参政党に鞍替えする人が続出しているようだ。保守王国に激震が走っている。
 「日本がどうかなってしまう。そんな不安がよぎって、居ても立ってもいられません。日本の知人らに電話して、ぜひ参政党の街頭演説のユーチューブを見てほしいとお願いしています」。サンパウロ市在住の高松高松玖枝さん(80歳、香川県出身)は、誰に頼まれたわけでもないのに、地球の反対側からひそかに選挙運動を手伝っている。
 もちろん、在サンパウロ総領事館で在外投票を済ませ、「参政党候補に投票しました」と明言する。2005年に在外選挙が開始されて以来、「1回も欠かしたことがない」。
 保守を自認しており、もともとは自民党にずっと入れてきた。「先の総裁選挙で高市早苗が当選していたら救いがあった。今の内閣には期待ができない。その点、参政党の候補の街頭演説をユーチューブで見て、この人たちは本当に日本のことを心配している。今立ち上がらなければという意気込み、緊迫感を感じた。特に神谷そうへいさんの演説には胸にグッと来るものを感じた。ぜひ議席を取ってもらいたい」と強調する。
 サンパウロ州モジ・ダス・クルゼス在住の平野和則さん(76歳、愛媛県出身)も、「叔父さんが自民党の市議会議員だったから、選挙運動は子供の頃からよく見ていた。良い候補がいなくても仕方なく、ずっと自民党に入れてきた。日本へデカセギに20年間行っていた間も、欠かさず自民党に投票してきた」と過去を振り返る。
 だが、今回はそれを変えた。「参政党候補に入れました。神谷そうへいの主張は4、5年前からユーチューブで聞いていた。彼の演説は日本人の心に訴えるものがある。今までと意気込みが違う」と称賛し、「最低10議席は取ってほしい」と期待を寄せた。
 一方、サンパウロ州サンベルナルド・ド・カンポ市在住の渡辺三男さん(75歳、福島県出身)は、「自民党の政治家にはすごく世話になっているから、今回も自民党の候補に入れた。約50年前、木村守江(きむら もりえ)福島県知事には太鼓を40個も贈ってもらった」と従来の自民党支持を貫く。
 「実家が福島県の農家だから、ずっと自民党。うちの父親は仕事をほったらかして選挙運動に夜中まで走り回っていた。酒もタバコもやらない人だったが、選挙が趣味のようなものだった。そんな父親の背中をみて育ったから、自民党以外は考えられない」と語った。

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