暦の上では冬だが、最近は寒さの緩い日も多い。そんな折、寝際に蚊に刺され、電子蚊取りを使った。別の日には、目の前を飛ぶ蚊に気づき、孫が刺されないように慌てて叩き潰した。
季節感の狂いに首を傾げていたある日、「デング熱の患者や死者の増加の一因は地球温暖化」との記事を読み、腑に落ちた。
記事には、6月18日までのデング熱による全国の死者は585人で、昨年1年間の死者240人を既に143・7%上回っているとあった。その後も患者や死者の発生は減少こそすれ、止まっていない。
サンパウロ州では、今年はデング熱患者の数やボーフラ発生が確認された場所が増え、流行状態と指摘された市や死者が増加している。サンパウロ州の死者は、1~5月に156人で、昨年1年間の63人の倍以上、全国の死者(438人)の3分の1を占めている(6月11日G1サイト)。
6日にはサンパウロ州内陸部のアララクアラでネッタイシマカを根絶するための作戦が敢行されたと報じられた。同市は今年、1万6246人の感染と17人の死が報告されている。
6日はパラナ州で、デング熱による新たな死者が6人発生して死者総数が71人に増え、患者数も5500人を超えたとも報じられた。
死者増加は全国的なものだが、気温上昇により、南東部や南部でも蚊が蔓延する時期や範囲が例年より拡大する可能性が高まっている。オズワルド・クルス財団の研究からは、気温低下と共に感染リスクも低下することがわかっている。
幸い、コラム子の身近なところではデング熱にかかった人は出ていない。もう冬だからデング熱に関するネタは取り上げなくて大丈夫になったかと思った事もあったが、残念ながら今年は「そうは問屋が卸さない」ようだ。
人間が行う種々の活動が地球温暖化を招き、デング熱を媒介する蚊の活動域や活動期間を拡大させ、患者数、死者数の増加を引き起こしているとの指摘は、襟を正して聞くべきだろう。溜まり水の除去や殺虫剤散布だけでなく、大きな視点での対策も必要だ。(み)