国連が6日に発表した「ハンガーマップ」(各国の飢餓状態を示す地図)によると、ブラジルでは人口の4・1%が栄養失調に陥っていたと同日付現地サイトが報じた。
最新版マップは2019~21年の飢餓状態をまとめている。世界では8億2800万人、ブラジルでは1540万人が慢性的な飢餓状態にあったという。
他方、ブラジルでは同期間中の平均で、食の安全を中~重程度脅かされている人が6130万人おり、10人に3人(28・9%)が次の食事が満足に食べられるか分からない状態にいたという。食の安全が中~重程度脅かされている人の割合は世界平均の28・1%よりも高い。
2015年のマップではブラジルの栄養失調者は1・7%で、400万人が飢餓状態とされていた。この時のブラジルは人口の2・5%以下という、食の安全が確保されているグループにいた。そういう意味でブラジルは飢餓国に逆戻りした事になる。
国連の食のプログラムのブラジル担当ディレクターのダニエル・バラバン氏は、ブラジルの食糧事情はパンデミックの前から悪化傾向にあったとし、コロナ禍に責任を転嫁する事はできないと説明。
同氏によると、ブラジルは社会格差が大きく、全国民を取り込み、全国民が生産、社会、経済活動に参加し、小規模ビジネスを展開できるような公共政策やそれを支援する政策が不足しているという。また、教育や職業訓練の改革の必要も説いた。
飢餓は様々な要素が重なって表面化したものだから、世帯所得を増やすような、収入を伴う雇用を生み出す事を公共政策に掲げるならば、雇用を増やし、経済を安定させるような投資が必要だとも語った。
貧困者に食事を提供している非政府団体の代表も、連帯はブラジルが抱えている飢餓の問題を解決しないという認識で一致している。
ロシアによるウクライナ侵攻後、小麦やトウモロコシ、石油などの供給に対する不安や高インフレといった問題が世界的に表面化。食の安全への懸念も高まっている。
ブラジルの場合、高インフレで貧困者に提供できる食事の数が減ったという声などもあり、一時的な社会保障費増額などのつけ刃的なものではない、根本的な解決策の立案と実行が待たれている。