《ブラジル》鉱滓ダム決壊後の健康被害か=重金属汚染や呼吸器疾患が増加=Vale社は関係性を否定

事故直後のブルマジーニョ(Felipe Werneck/Ibama)

 2019年1月にミナス州ブルマジーニョのコレゴ・ド・フェイジョン鉱山で起きた鉱滓ダムの決壊事故後、住民に健康被害が出ている可能性を示す調査結果が出たと7日付現地サイトが報じた。
 Vale社の鉱山での事故は死者270人(内4人は行方不明)を出したが、健康被害につながる可能性がある事は、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)とリオ連邦大学(UFRJ)が指摘した。
 それによると、12歳以上の住民3080人中2782人は尿に血が混じっていた。0~6歳の子供217人中172人も尿検査が必要だったという。
 成人の28・9%からは許容量以上のヒ素が検出された。52・3%の血液からは許容量以上のマンガン、12・2%からは許容量を超える鉛を検出。
 尿中のヒ素が高濃度だった人は33・7%、血中のマンガンが高濃度だった人も37%いた。50・6%の子供は何らかの金属が許容量を超え、41・9%からは高濃度のヒ素が検出された。
 ヒ素や鉛は鉄鉱事業とは直接の関係がないが、マンガンは関係があり、鉱滓が直撃した3地区では他の地区住民より高濃度のマンガンが検出された。マンガンはそれ以外の地区でも検出されている。
 高濃度のマンガンは神経障害を、ヒ素は神経、血管、皮膚の問題を、鉛は神経過敏、痛み、震え、記憶喪失を起こす可能性がある。
 調査は2021年に行われ、重金属による健康障害の詳細は調べられていないし、コロナ禍との関係も定かではない。だが、鉱滓に直撃された3地区では呼吸器系疾患が多い。
 保護者の49%は事故後に子供に健康被害が出たと報告。目立つのは呼吸器や皮膚の疾患だ。鉱滓が直撃したパルケ・ダ・カショエイラ地区の子供のアレルギー性呼吸器疾患は被害を受けなかったアラーニャ地区の4倍、パルケ・ダ・カショエイラ地区とテジュコ地区での皮膚の炎症の発生率はアラーニャ地区の3倍だという。
 調査では、呼吸器疾患や高血圧症、精神障害も、地理統計院の全国健康調査の平均以上である事が判明している。だがVale社は、現地では重金属による中毒の症例の報告はないし、それ以外の項目も安全基準の域内との見解を表明している。

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