オズワルド・クルス財団(Fiocruz)が8日、新型コロナの感染開始以来の遺伝子解析数が2日に5万件を超えた事と、6月後半もオミクロン株亜種のBA4型とBA5型が急増した事を明らかにしたと同日付現地サイトが報じた。
同財団によると、5月現在のBA4型とBA5型の割合は全体の8%だったが、6月は25%に急増し、BA2型の割合が減ったという。感染者の大半をBA4型とBA5型が占める状態は欧米や南アフリカと同じだ。
BA4型とBA5型用のワクチンはまだできておらず、今年前半の感染第3波の中心を占めたBA1型やBA2型より免疫をすり抜け易いため、感染した人や予防接種を受けた人でも感染する可能性が高い。接種から時間が経ち、抗体が減っている人も要注意だ。
専門家達はこの事から、オミクロン株への感染者であっても、BA4型やBA5型に再感染する可能性は高いと警告を発している。同財団の調査でも、6月16~30日に株の解析を行った再感染者81人中、68人はBA4型とBA5型に感染していた事が判明。再感染者の中にはBA1やBA2に感染後の再感染者もいた。
他方、BA4型とBA5型が国内の感染者の大半を占めている事を明確に示すのは国民皆健康研究所(ITpS)のデータだ。ITpSはDasaやDBモレクラル、HLAGynといったラボでのPCR検査15万件中に占めるBA4型とBA5型の割合を調べており、6月後半の2週間では79・3%が93・2%に増えた。ただし、検査の陽性率は45・3%から40・3%に低下した。陽性率が低下したのは5月以来初めてだ。
Dasaによると、6月26~7月2日に行われた検査でBA4型とBA5型と見られる例は、サンパウロ州で90%超、リオ州はほぼ100%だったという。
なお、3~9日(感染学上の第27週)の感染者は前週比で1・8%減ったが、前前週比では9・3%増、死者は前週比で13・9%増、前前週比で24・8%増だった。また、10日の感染者の7日間平均は5万8006人で3月1~2日の水準。死者の平均は243人で、3月25日の256人に次ぐ水準となっている。
□ひとくち記者コラム□
人気ニュースキャスターのダテナが10日、新型コロナウイルスに感染し、9日からサンパウロ市シリオ・リバネス病院に入院していることを自身のSNSで明かした。フォロワーへのメッセージでダテナは、「ワクチンは既に4回接種していたが、それでも感染した。ワクチンを接種していてもマスク着用は大事」と訴えた。ダテナは先日、支持率で1位だった上院選での出馬をとりやめ、話題を呼んだばかりだった。
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