パンデミックは当面継続=WHOが現状への懸念表明

ブラジルでの感染者(緑)と死者(赤)の推移(上は累積、下は週毎の集計、全国保健局長審議会公式サイトより)
ブラジルでの感染者(緑)と死者(赤)の推移(上は累積、下は週毎の集計、全国保健局長審議会公式サイトより)

 世界保健機関(WHO)は12日、新型コロナ感染症(Covid―19)の感染状況に関し、国際的に公衆衛生上の緊急事態(パンデミック)が未だに継続しているとの見解を表明した。
 WHOはオミクロン株の亜種でブラジルでも確認済みのBA4型やBA5型、インドなどで確認されたBA2.75型などによる感染者急増にも注目しているようだ。BA4型やBA5型は従来型より感染力が強く、ワクチン接種完了者やCovid罹患者でも感染し得る。これら様々な亜種は従来株以上のインパクトを社会に与える可能性がある。WHOによると、新型コロナ感染症の感染例はここ2週間で30%増えている。
 8日に開かれたWHOパンデミック緊急委員会では、検査件数減少で実態把握や予防措置の質が落ちる事、公開パネルに登録される遺伝子情報(ゲノム配列)が減る事、患者急増で医療体制が逼迫し、現在の患者増や将来的な感染爆発に対応できなくなる可能性などへの懸念も表明している。
 WHOは感染リスクや重篤化リスクの高い人達を中心にワクチン接種の促進、継続を要請。ブラジルではオミクロン株による第3波の最中に子供の死者が減ったが、5歳未満の乳幼児の死者は増えた。これは昨年末に始まった5歳以上の子供への予防接種効果と見られ、5歳未満の子供へのワクチン接種承認への動きも加速中だ。
 新型コロナ感染症の世界的感染は、50年間続いていた平均寿命の延びを止める程の大きなインパクトをもたらした。11日の国連の発表によると、2021年の全世界の平均寿命は2019年の72・8歳から71歳に落ちた。コロナ禍の影響は地域や国毎に異なり、ラ米地区やアジア中・南部では平均寿命が3年、ボリビアやメキシコ、ロシアなどでは4年程短くなったが、ニュージーランドやオーストラリアでは1・2年延びた。
 ブラジルでは予防接種効果で死者が減っているものの、感染者数は第2波当時と同程度だ。脅すつもりもないし、悲観論者にもなりたくない。だが、現状を知り、正しい対応をとる事は全ての人に求められている。(み)

 

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