18日18時頃、リオ市の繁華街ラルゴ・ダ・ラッパ地区で市警による麻薬取引の捜査が行われ、容疑者と疑われた青年が警察に殺される事件が起きた。これに関し、警察側と近隣住民との間の見解が食い違い、住民たちが抗議運動を起こした。19日付現地サイトが報じている。
現場はリオ市中央部のラルゴ・ダ・ラッパ地区で、麻薬取引の捜査中だったリオ市警が同地区を巡邏中、ジョアキン・シウヴァ街で密売と思しき現場に出くわして近づいたところ、「武装していた2人組の男性が発砲してきた」という。市警が応戦したところ、1人は逃げたが、もう1人は被弾した。
被弾したのはエマヌエル・ラモス・デ・オリヴェイラ氏(20)で、鑑識が来る前に家族が病院に運んだが、助からなかった。警察によると、同氏は窃盗や麻薬取引などの前科15犯だったという。
ラッパ地区はこうした銃撃戦が頻繁に起こるファヴェーラではなく、ナイトクラブやレストランが軒を並べる有数の繁華街だ。そのために反響が大きく、現場周辺には事件から数時間の間、バリケードが築かれ、店を閉めるところも相次いだ。
また、エマヌエル氏の死後、住民が抗議運動を起こし、混乱をさらに大きなものとした。市警は抗議を鎮圧するべく軍警に援軍を求め、騒ぎを鎮めた。
この件に関しては、市警側と市民側の証言が食い違っている。市警は「銃撃を受けた」としているが、目撃者たちは「エマヌエル氏らは銃を撃つふりをしただけで銃は持っておらず、警察側の一方的な発砲だった」と語っている上、エマヌエル氏は手錠をかけられた後に銃弾を浴びせられたという情報もある。
この事件ではエマヌエル氏が黒人青年だったことも問題視されている。リオ市議のタルシジオ・モッタ氏とリオ州議のモニカ・フランシスコ氏は、「またしても黒人青年が殺された。これでは黒人たちは日常の中で息をする余裕もない」と市警の対応を批判した。