スリラーやホラー、ファンタジー関係の書籍や漫画出版を専門とするリオ市所在の出版社「DarkSideⓇBooks」(クリスチアノ・メネゼス代表)から、続々と日本の作家の作品が刊行されている。
同社は2012年10月に設立され、尖った作品選出センスに加え、優れたデザインの出版物を出すことに定評があり、特に2015年以降の刊行物はすべてハードカバー装丁となっている。
怪奇小説・幻想小説の先駆者の一人、米国作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトなどの「クトゥルフ神話」シリーズを始め、エドガー・アラン・ポー作品集、不思議の国のアリスなどの古典からスティーブン・キング、英国のダークファンタジーの旗手クライヴ・バーカーまで300点以上の作品を刊行している。
19年に同社が刊行したコミック『Silvestre』(ワギネル・ウイリアン著)は、国内で最も権威あるジャブチ賞の20年度漫画歴史部門の最優秀作品に選ばれた。
日本の作家の代表的な刊行例としては、ホラーマンガ界のプリンスと呼ばれる伊藤潤二の『Fragmentos do Horror(魔の断片』、異形の者と人間が分かれて住む世界に生きる捨て子と異形の者の交流を独特のタッチで描いた『A Menina do Outro Lado(とつくにの少女)』(ながべ著)、漫画界の鬼っ子カネコアツシによる新たなコミック・ノワール(暗黒漫画)『デスコ(DEATHCO)』など40作超が出版されている。
最新作としては、迫真のサイコホラー・ラブストーリーとして映画化もされている村上龍の小説『Audição(オーディション)』が6月に、手塚治虫が描いた悪女を主人公とするピカレスクロマン(悪漢小説)の漫画『O Livro dos Insetos Humanos(人間昆虫記)』が今月12日に刊行された。
来社した同社の編集担当の小林ジュリアナさんは「すでにいくつもの日本作品の刊行予定が入っています。楽しみにしていてください。子や孫へのプレゼントにどうぞ」と呼びかけた。
21年に映画化され、ネットフリックスで配信中のアクションスリラー『Princesa Yakuza』の原作『Samurai Shirô』(ダニロ・ベイルチ著)も同社から出版された。この映画の主な舞台はサンパウロ市リベルダーデで、日本のヤクザの娘が日系人という設定。勝ち負け抗争を描いたブラジル映画『汚れた心』のビセンチ・アモリン監督が指揮をした米国映画。
刊行物は同社サイト(https://www.darksidebooks.com.br)から購入できる。