現在ドイツ在住の元ニッケイ新聞紙記者の児島阿佐美さんが、世界最大級の日本関連イベントである仏パリの『第21回ジャパン・エキスポ』を取材して、原稿と写真を送ってくれた。奇しくもサンパウロ州の県連日本祭りとほぼ同じ日程で開催された。ブラジルと比較しながら読むと興味深いのでは(編集部)。
フランス・パリで7月14日から4日間、コロナウィルスの流行による2年間の中断を経て、欧州最大の日本文化催事『第21回ジャパン・エキスポ』(SEFAイベント社主催)が開催された。約14万平米の巨大なパリ・ノール・ヴィルパント展示場に800以上のブースが軒を連ね、35度を超す猛暑にも関わらず日本文化ファンが殺到した。
イベントの仕掛人は、80~90年代にかけて日本のアニメを見て育った3人のフランス人。2000年の初開催時ですでに3千人を超える来場があり、年々順調に規模を拡大、2019年には動員数約25万人を記録した。現地メディアによると、動員数ではフランス国内で開催される見本市中3位を誇る。
当初の開催目的は漫画・アニメの普及。現在はビデオゲームを加えた漫画・アニメ・ビデオゲームの普及が主要テーマとなっている。コスプレ大会は欧州最大規模で、会場を闊歩する気合の入ったコスプレイヤーも見物の一つ。日本からイラストレーターやミュージシャンも招聘された。ブラジルの日本祭りのような郷土食祭りとしての側面はないものの、武道、ファッション、音楽、伝統文化と幅広く日本文化を楽しめる点では共通している。
漫画誌「週刊少年ジャンプ」の大ヒット作品「ワンピース」のアニメ試写会は黒山の人だかりで、参加者たちはスマホを片手に主題歌を合唱するという熱狂ぶりだった。伝統・地域文化パビリオン「ワビサビ」には多くの企業が日本から出展し、現地の消費者の感触を探った。
今回が初参加というマエヴァ・ラツィトさん(15歳、フランス)さんは、「このイベントのコスプレ大会には世界中から参加者が来るから、すごく楽しみ」と満面の笑みを見せた。
ロリータ・ファッションスタイルで訪れたイルディー・デフリゼさん(29歳、ベルギー)は「10年以上前からロリータファッションのファン。会ったことがなくても、色んな国の仲間とSNSでつながっているの」と話していた。
パリジェンヌのお気に入り?=ランドセルがおしゃれアイテムに
ファッションの街として名高いパリ。同市で開催されたジャパン・エキスポの帰りにふと立ち寄ったヴィンテージ・ショップで、赤いランドセルを見つけた。
50平米程度の小さな店に4つの女の子用ランドセルが陳列されている。値段は1個35ユーロ(約190レアル)前後。店員の女性に尋ねると、「20代~30代の女の子に人気なの。質も使い勝手もいいので、私も一つ持っているわ」とのこと。日本では小学生用ということは承知の上だ。
ジャパン・エキスポでもランドセルを背負った若い女性を見かけたし、中古ランドセルを販売しているブースもあった。日本では小学校卒業後、扱いに困るランドセルだが、意外なところで価値が再発見されているようだ。