《ブラジル》ボルソナロが大統領選出馬を正式宣言=夫人「夫は神に選ばれた」=9月7日の抗議デモ呼びかけ

党大会での出馬宣言の模様(Tomaz Silva/Agencia Brasil)

 ボルソナロ大統領(自由党・PL)は24日、リオ市でのPL党大会で大統領選公認候補に認められ、出馬表明を行った。大統領はここでも最高裁への攻撃を繰り返し、9月7日の独立記念日に抗議デモを行うよう支持者たちに呼びかけており、同日の治安が不安視されている。24、25日付現地紙、サイトが報じている。
 ボルソナロ氏の出馬表明はリオ市マラカナジーニョ体育館で行われた。会場は愛国者をイメージし、緑と黄をあしらった服を着た支持者で埋まっていた。
 大統領は開口一番、「主の祈りを捧げ、共産主義の痛みを味わわなくてよいよう祈ろう」と語り、対抗馬のルーラ氏を攻撃した。
 同氏は続けて、「この国をキューバやベネズエラのような自由のない国にしたいのか」「泥棒を大統領に選んで国が裕福になって嬉しいのか」と、支持率で1位を走るルーラ氏をこきおろした。
 大統領はこの日も最高裁への批判や投票機や選挙システムへの不安を繰り返した。ボルソナロ氏は18日に各国の大使や代表を前にブラジルでの選挙の不正疑惑を証拠もなく主張し、国内外で大問題となった矢先。最高裁はその後、「投票システムへの疑惑主張の場合は逮捕もありえる」との決断を出したばかりだ。現在は正式な公認候補となっており、選挙システムへの偽情報を再度流せば、懲罰の対象となりうる。
 大統領は「9月7日は選挙前に街に繰り出す最後の日だ」と、全国的なデモ敢行も訴えた。これに対し、支持者たちも「最高なのは我々国民だ」と応える一幕が見られた。
 この出馬宣言では、副候補のヴァルテル・ブラガ・ネット氏も紹介された。陸軍大将のネット氏登用は「女性票の弱いボルソナロ氏に不利になる」など、側近や支持母体のセントロンの受けが良くないが、ボルソナロ氏はこの場で改めて軍を擁護。「人は、私が多くの軍人を登用したように言うが、まだまだ必要最低限だ」とし、軍のカラーを濃くしたい意向をほのめかした。
 壇上では熱心な福音派のミシェレ夫人も応援演説を行い、「夫は神によって大統領に選ばれる運命にある」と詰め掛けた会衆に訴えた。また、ボルソナロ政権下では女性を保護する法律も作られたと主張するなど、女性票獲得に一役買おうとする姿が伺えた。
 ボルソナロ氏も、「選挙後も北東部の人へのアウシリオ・ブラジル支給額は600レアルを維持する」とアピールした。
 ただ、この出馬宣言では混乱も見られた。ボルソナロ氏が党大会に参加したアルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)を紹介した際、会場から野次が起きたのだ。それに対し、ボルソナロ氏が、「彼は長年の友人だ」「彼のおかげで通したい法案が通ったんだ」と擁護する場面が見られた。
 また、当日の入場を巡り、不正券が大量に出回ったことや、大統領長男フラヴィオ氏が会場近隣の住民に開催中はブラジル国旗を出すよう頼んだのにほとんど応じられなかったことなども報じられている。

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