ブラジル日本商工会議所(村田俊典会頭)は22日、パンデミックにより2020年2月以降休止していた「定例懇親昼食会」をサンパウロ市内のホテル、ブルーツリー・プレミアム・モルンビで開催した。120人が参加し、再開を記念して桑名良輔在サンパウロ総領事が講演を行った。
会冒頭では、8日に死去した安倍晋三元首相へ黙とうが捧げられた。司会の平田藤義事務局長が2014年8月に安倍元首相が来伯した当時を振り返り、安倍元首相の日伯交流、日本語教育、医療分野への貢献に感謝を述べた。
昼食会には、日系企業代表者らを始め、石川レナトブラジル日本文化福祉協会会長、西尾ロベルト同副会長、税田パウロ清七サンパウロ日伯援護協会会長、吉田エドアルド日伯文化連盟会長らが出席。挨拶に立った村田会頭は「昼食会を再開できたお陰で、久しぶりに会えた人がいた。理事会などは今日もオンラインで開催し、パンデミック中に開催したオンラインイベントでは対面イベントよりも参加者が増えることもあったが、対面での会合にはオンラインでは代えられない効果がある」と述べた。
講演を行った桑名総領事は、1986年に外務省入省。以後、海外では米国、チリ、メキシコ大使館や在ジュネーブ国際機関日本政府代表部に勤務した。その後、在メキシコ日本国大使館公使を経て、2020年8月、コロナ禍の最中に在サンパウロ日本国総領事館の総領事に着任した。昼食会へは初参加だ。
講演は「我が国の外交とブラジル(サンパウロからの視点)」と題し、国際情勢認識、日本外交の展望、中南米外交の3部に分けて行われた。
桑名総領事は、戦後に確立された国際秩序が現代の世界情勢に対して機能しなくなってきたことからロシアのウクライナ侵攻も発生したと述べ、日本外交は今後、普遍的価値観を共有するパートナー国との結束を強め、力による一方的な現状変更の試みに対抗していくことが重要であると強調した。
続けて、日本政府の中南米外交の方針は、経済、価値観、知恵の連結であるとし、「経済連携の主役は企業の皆様です。日本政府はそのために最大限のサポートをします」と述べた。外交における日系社会の存在については「日系社会の存在とその維持は外交上極めて重要であります。3世、4世ビザの問題は課題となっていますが、若い世代がなるべく日本へ行けるように政府はサポートしたい」と語った。
最後に、サンパウロ市にある日本文化広報施設「ジャパンハウス」を日本企業のセミナーや製品紹介のプラットホームとして積極的に活用してほしいと呼びかけて講演を締めくくった。
昼食会は、パンデミック以前は150人以上が参加していた。今回は昨今のコロナ流行状況を鑑み、参加者を限定して開催された。