教育省傘下の国立教育研究院(Inep)のダニーロ・ドゥパス代表が27日、辞表を提出した。同院が管轄する国家高等教育試験(ENEM)まで4カ月を切った時点での辞任となり、影響が懸念される。27日付現地サイトが報じている。
ヴィクトル・ゴドイ教育相はドゥパス氏の辞任に関し、「個人的な理由で、本人が辞任を申し出た」と説明するにとどまっている。
InepはENEMや全国学生能力試験(Enade)、全国青年・成人技能認定試験(Encceja)などの試験実施の責任を負っている。とりわけ毎年11月に実施されるENEMは、そこでの成績を入試に代用したり、入試の点数に加算したりする大学が多く、受験者規模では国内最大の試験だ。また、小論文の出題内容が例年、社会的な話題になることでも知られている。
その最も重要な試験開催(11月13、20日)の4カ月前という微妙なタイミングでの責任者交代劇となった。
ドゥパス氏は2021年2月にInepの代表に就任したが、その間にも波乱が報じられていた。昨年のENEMでは、直前に30人以上もの職員が一斉に辞職する異例の事態も起きたが、この時も職員は「ドゥパス氏は何もしなかった」と問題視していた。
昨年のENEMではボルソナロ大統領が「ようやく政権の色が出る試験になった」と発言したことから、大統領が試験に干渉した疑いも生じた。ボルソナロ氏はこれまでも、「民主主義」や「軍事政権」、「性」の問題などに関し、「左派傾向が強い」と不満を口にし続けていた。Inepの代表が辞任するのはボルソナロ政権になってから5人目だ。
ドゥパス氏の後任にはカルロス・モレノ氏が選ばれ、8月1日から着任することになっている。モレノ氏は指名後、「教育機関としての任務を果たす」との抱負を語っている。