民主運動(MDB)は27日、シモーネ・テベテ氏を同党の大統領候補として擁立することを正式に宣言した。テベテ氏をめぐっては党内で根強い対立があり、紆余曲折を経ての決定だった。27、28日付現地紙、サイトが報じている。
昨年の上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)での活躍から、MDB内ではテベテ氏を大統領候補に推そうとする動きは早くからあった。だが、民主社会党(PSDB)とウニオン・ブラジル(後に離脱し、シダダニアが加入)との間で連立候補を出そうということになり、決定が先延ばしにされていた。その後、PSDB候補だったジョアン・ドリア氏が出馬断念を発表したことで、テベテ氏が3党合同の候補となった。
だが、レナン・カリェイロス上議をはじめとするMDB内のルーラ元大統領支持派たちが、テベテ氏を候補にすることに反対。彼らは選挙高裁にテベテ氏を候補とすることを宣言する党大会の延期を求めたが、却下された。これでテベテ氏に対する障害がようやくなくなった。
出馬の正式決定を受け、テベテ氏は経済危機に言及。「そのはじまりは労働者党(PT)政権にあるが、より悪化させたのはボルソナロ政権だ」と指摘。さらに、国がルーラ氏かボルソナロ氏かで両極に2分された状況であることを問題視した。
この大会ではPSDB、シダダニア両党も正式にテベテ氏を支持した。テベテ氏と連立名簿(シャッパ)を組む副候補は決まっていないが、タッソ・ジェレイサッチ上議(PSDB)が身を引く意向を表明していることなどから、エリジアーネ・ガマ上議(シダダニア)になることが予想されている。
とはいえ、テベテ氏は現状の大統領選世論調査では5番手で、1〜2%の支持にとどまっている。だが、3位のシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)や4位のアンドレ・ジャノーネス氏(アヴァンテ)よりもキャンペーンでの放送時間に恵まれており、貴重な女性候補としての伸び代も期待されている。