7月の休廷期間を終え、1日から最高裁が再開した。再開直後に審理される案件の中にはボルソナロ大統領や連邦政府にとって重要な要件も多数含まれており、選挙期間に突入する前後の審理内容にも注目が集まっている。7月31日、1日付現地紙、サイトが報じている。
1日に再開した最高裁だが、今月は16日からテレビ、ラジオでのキャンペーンをはじめ、選挙期間が本格的にはじまるため、選挙高裁とも協力して偽情報対策を強化する必要がある。ボルソナロ氏が9月7日にリオ市でも軍の行進を行うと言い出したこともあり、平穏な選挙は最高裁に取っても重大関心事だ。
また現在、最高裁が抱えている審理案件も連邦政府との対立を深める可能性のあるものが目立っている。まず7月31日までに、アラゴアス州、マラニョン州、サンパウロ州、ピアウイ州の4州に対し、燃料などへの商品流通サービス税金(ICMS)の上限を18%に定めたことで生じた減収分の州財政への補填を行うよう義務付ける司法判断を下した。ディーゼル油やガソリンの高騰を抑えるために連邦政府が行った対策は、30%近くの税を課していた州には大打撃となっていたが、連邦政府は「税収の5%以上の損失が出ない限り補填はしない」との方針を打ち出していた。
ボルソナロ大統領に関する訴訟は、7月18日に大統領府で行った各国の大使や代表者たちの前でのブラジルの選挙に関する虚偽拡散問題だ。この件に関する報告官はローザ・ウェベル判事だ。同件は司法関係者が「逮捕や罷免があってもおかしくない」と強く抗議したものでもあり、野党側が行った訴訟を担当する同判事が、検察庁の意見書を受け付けるか、捜査を命じるかなどが注目される。
3日には任期前の不正に関する法案に関する審理が行われる。これは政治家の不正に関し、「以前の職務に関しては問われない」との改正を2021年に連邦議会が行ったことへの判断だ。この改正に関してはアウグスト・アラス連邦検察庁長官が「時代遅れ」と批判している。
10日は、大卒以上の収監者は高卒以下の収監者とは異なる刑務所に入れることを定めた「特別刑務所」に関する審理が行われる。これに対しても検察庁は「違憲」との判断を行っている。
12~19日には、検察庁や連邦総弁護庁(AGU)が不当との判断を行っている、ボルソナロ大統領が捜査に含まれている件に関する審理が行われる。これは大統領が、新型コロナウイルスのワクチン接種がエイズを引き起こす危険性があるという虚報を流したことや、21年8月のライブで大統領が18年の大統領選での投票システムに関する連邦警察の捜査内容を漏えいしたことに関してなどだ。同件の報告官は8月に選挙高裁長官に就くアレッシャンドレ・デ・モラエス判事だ。
また、「携帯電話は証拠となりうるか」の審理を18日に、「陪審の優越性」に関しての審理を25日に行う予定となっている。