国際交流基金サンパウロ日本文化センター(洲崎勝所長)は7月27日、巡回展「NINGYŌ: Arte e Beleza dos Bonecos Japoneses」の開催記念式典をサンパウロ市モカ区のサンパウロ州移民博物館で行った。同展示は同博物館にて9月18日まで行われる。
同展では、日本人形の原型とされる「形代」や「天児」、「郷土人形」の説明や、67体の日本人形を「節句人形」「美術人形」「庶民の人形」「人形文化の広がり」と区分して紹介。おもちゃとして愛用されている着せ替え人形や、世界中で高い人気を博すアクションフィギュアなども展示した。
記念式典で挨拶に立った洲崎所長は「日本人形の歴史と地域差を実感していただけるように構成してあります。一つ一つの人形を楽しみながら日本人形について知ってもらいたい」と述べた。
また、同展は国際交流基金のブラジルにおける活動において、コロナ禍によってイベント実施が規制されていた2020年3月以降初の対面式イベントであることにも触れ、今後は移民博物館と共同でワークショップも実施していきたいと語った。
移民博物館のアレサンドラ・アルメイダ館長は、同博物館が移民収容所であった歴史から、同博物館が移民文化を発信してい
くことの重要性を語り、「日本の食文化や風習は、サンパウロの成り立ちにも大きな影響を与えています。日本文化を学ぶことはサンパウロを知ることにも繋がるのです」と話した。
来場者のマリネラ・パスケットさん(59歳)はブラジルで生まれ、その後イタリアに移住したイタリア人2世。「展示物の一つ一つに歴史があって素晴らしい。私たちは祖先の歴史を受け継ぎ、その文化の中で生きています。歴史や伝統を知ってルーツを理解することは人としての要なのでは」と話した。
同展はこれまでチリで実施され、今後はリオ・デ・ジャネイロ、クリチバ、マナウスで行われる。
サンパウロ州移民博物館(住所:Rua Visconde de Parnaíba, 1316)は火~土曜日午前9時から午後6時まで、日曜日は午前10時から午後8時まで営業。入場料10レアル。学生、60歳以上は半額。土曜日は一律無料。問い合わせは移民博物館(電話:11・2692・1866)まで。
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