【既報関連】連邦議会がアウシリオ・ブラジルによる生活扶助支給額を引き上げる事などを盛り込んだ憲法補則法案(PEC)「カミカゼ」を承認したことに関連し、ゲデス経済相が3日、歳出上限法を破った事を認めたと3、4日付現地サイトが報じた。同承認を受け、アウシリオの受給申請数が過去最高を記録した上、タクシー運転手の登録数も急増している。
ゲデス氏の発言はサンパウロ市で開かれた「ExpertXP2022」のパネル・ディスカッションで行われたもので、歳出上限法はパンデミックや戦争のような時は「撤回可能」との考えを示した。
同相は、歳出上限法は〝大きな政府〟になり過ぎない歯止めとして機能しており、(新型コロナという予期せぬ)病気が出現し、人々に資金を転移する必要が生じたために「歳出上限法を破った」事を認めた。
と同時に「政府を大きくしているのではない。より脆弱な人々に支援を与えているのだ」とし、収益が出た公社からの配当金など、予算に計上されていなかった收入があったからできた事で「全て財政責任法の範囲内で行われている」と強調。さらに「パンデミックや戦争が起きた場合は上限を引き上げて国民を助ける」とも語った。
また、財政改革案が承認されれば、アウシリオ・ブラジルの支給額を来年以降も維持する事が可能との考えを表明し、「インフレは落ち着き始め、雇用は増えている。財政政策も適切だ」「1年半後には経済成長率もインフレ率も3~4%になる」と語った。
PECカミカゼは選挙での票稼ぎが目的とも言われているが、7月のPEC承認と同時にアウシリオの受給申請が増え、昨年同月比で150%増を記録した事は、必要に駆られている国民が多い事も示している。
7月の申請者数は新たなアウシリオの支給が始まった昨年11月を超え、過去最高となった。それでも、4月現在で500万人超といわれた、受給資格がありながら受給できていなかった人の列は解消されたという報道は未だに出ていない。
他方、タクシー運転手向けのアウシリオ受給のための登録も急速に進み、2日現在で30万1500人に膨れ上がっているが、実際に受給できるかは今後の審査待ちとなる。