ミナス・ジェライス州で2日夜、11歳の男児が空腹のため、警察に電話をかけて助けを求めたところ、驚いて様子を見に来た警官達をはじめとする支援の輪が拡がるという事態が起きた。
3、4日付G1サイトなどによると、190番電話で軍警に助けを求めたのは、ベロ・オリゾンテ大都市圏サンタルジア市に住むミゲル君(11)だ。
ミゲル君は母のセリア・アルキミノ・バロスさん(46)と5人の兄弟と共に住んでいる。セリアさんは既に5年間失業状態で、連邦政府の生活扶助であるアウシリオ・ブラジルを受け取っている上、夫からも月250レアルの送金を受けているという。だが夫からの送金はその月によって、来たり来なかったりだという。
ミゲル君からの電話を受けた軍警は、「どうしました?」との問いかけに「食べる物がないの」との答えが返ってきた事に驚き、ミゲル君の年齢や家族構成などを確認。
「お母さんが部屋の隅で泣いているから、電話を借りてかけた」「3週間前からは食べ物も買えず、3日前からはフバ(トウモロコシの粉)と水しか食べていない」などという話を聞いて心を動かされた軍警が同僚にも話した。ミゲル君の家に赴いた軍警達は、虐待などではなく、本当に食に窮している事を確認。則座に食料品を集めて届け始めた。
この話は3日付のサイトやニュース番組でも取り上げられ、軍警や近所の人達だけでなく、近隣の市などからも食料品やおもちゃなどの支援の品が届き始めた上、セリアさんの携帯電話にも支援を申し出る電話が絶え間なくかかり続けているという。
多くの人々からの善意を受け、空っぽだった棚は米やフェイジョン豆などで埋まり、冷蔵庫にも腸詰めなどが並び始めたという一家は、3日の昼はご飯とフェイジョン、リングイッサ(腸詰めの一種)を食べる事ができたと笑顔で語る。
支援の品を届けた1人で技師のドウグラス・メンデス氏は、「みんなが少しずつ手を伸べ合えば、誰かにとっては沢山になる。貧しい人達の現状はとても悲しい。子供が助けを求める時というのは、本当に困窮している時に他ならない」と語っている。
セリアさんは警備員や市民消防団で働いた事があるが、既に5年間、失業状態にある。また、新型コロナのパンデミックが始まってからは、仕事を見つける事がより困難になったという。
セリアさんは、多くの人達の善意に感謝しつつ、「支援してくれた人やその家族が自分達と同じような経験を辿らなくても済むように」と願っている事も明らかにした。