【既報関連】選挙高裁が8日、選挙プロセスの安全性などを監査するために軍が派遣した技術者9人の1人のリカルド・サンチアナ陸軍大佐を、フェイクニュースを流したとの理由で監査グループから外したと8、9日付現地紙、サイトが報じた。
同大佐は軍技術研究所(IME)を卒業。サイバー攻撃への防御の専門家で、軍でもサイバー攻撃防御システムの担当主任だ。今回の任務は、選挙高裁の選挙の透明性委員会の働きの一環として、軍が求めた電子投票機や選挙プロセスの安全性の確認だった。
だが、委員会のメンバーに求められるソーシャルネットワークの使用基準に従わず、電子投票機の安全性を宝くじと比較したり、先進国では電子投票機は使っていないと投稿したりしていた。
その上、ボルソナロ派の流すページや情報の拡散、労働者党(PT)に対する批判や攻撃なども繰り返していた。その挙句、5日付現地メディアが「PTに投票する事は投票権の馬鹿な使い方だ」という投稿などを報じた事で、監査団員として不適切と判断されたため除外となった。
同氏のプロフィールは報道後に削除され、軍も代替要員を探していたというが、選挙高裁は8日、エジソン・ファキン長官とアレッシャンドレ・デ・モラエス副長官の連名で同氏除外を告げる文書を軍に送った。
同氏が公的立場から選挙の透明性を疑問視するフェイクニュースをSNSに投稿していたことは、政府や大統領府内の軍関係者による電子投票機や現行制度の安全性に疑問を呈する戦略の足を引っ張るものとの指摘も見られている。
パウロ・セルジオ・デ・オリヴェイラ国防相は2日、選挙制度監査のため、軍の技術者が電子投票機のソースコードにアクセスし、必要なデータを入手する事を求めたが、この情報は10カ月前からアクセス可能で、連警や連邦会計検査院などの透明性委員会参加機関も監査済みだ。
軍人はボルソナロ派が多く、大統領の主張に従った質問書送付、14、18年の投票結果の監査要請といった行動も繰り返している。中立性が求められる働きに就くメンバーによるフェイクニュース拡散や偏見提示は、選挙制度監視に際する軍の見識の低さも露呈した。
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