「ブラジルのアカデミー賞」的存在の「ブラジル映画大賞」の授賞式が10日、リオ市のシダーデ・デ・アルテスで行われ、「マリゲーラ」が作品賞をはじめ、17部門中の8部門を獲得し圧勝した。
カルロス・マリゲーラ(1911―1969年)は実在の人物。ブラジル人のマルクス主義革命家。都市ゲリラの民族解放行動(ALN)を指揮して、軍事政権にレジスタンス運動を繰り広げた。著書「都市ゲリラ教程」で都市ゲリラの戦術について書き、「都市ゲリラの教祖」とも呼ばれた。
戦前にブラジル共産党に所属して国会議員を務め、1932年から2度も投獄生活を送った。戦後、ALNを組織して銀行強盗や外国大使の誘拐を繰り返した。1969年にサンパウロ市内で警察の待ち伏せ攻撃を受け射殺された。
この受賞に関し、監督をつとめたヴァギネル・モウラらスタッフは「ひとつの映画を作るどころじゃない大変さだった」と喜びを語った。
右派のボルソナロ政権には左派活動家だったマリゲーラを嫌う軍勢力が強く、2017年の撮影時から脅迫が行われていた。2020年初頭には完成していたが圧力がかかり、2021年10月まで公開が遅れたという難産の作品だった。
とはいえ、「また同じスタッフで次作を作りたい」とヴァギネルは製作陣の絆を主張した。
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