《ブラジル》史上最大の汚職スキャンダル暴露の発端、最初の司法取引証言者が死去

コスタ氏(Twitter)

 ラヴァ・ジャット作戦で最初の報奨付証言(デラソン・プレミアーダ=司法取引証言)を行い、ペトロブラス(以下PB)を中心とするブラジル最大の政界汚職スキャンダルに発展する契機となったパウロ・ロベルト・コスタ氏が13日、癌のため亡くなった。68歳だった。70年以上の実刑に服していた。13、14日付現地紙、サイトが報じている。
 コスタ氏は2014年3月、はじまったばかりのラヴァ・ジャット作戦の捜査で逮捕された。その際はパラナ州で悪名高い闇ブローカー、アルベルト・ユセフ氏と共謀して、化学薬品企業ブラスケンを舞台に贈収賄工作を行った容疑で捕まった。
 だが、コスタ氏は連邦警察に対し、かつて勤めていたPBで、その当時の連邦政府も絡んだ組織ぐるみで巨大な贈収賄計画が行われていたことをデラソンで暴露した。
 これが契機となり、様々な企業の役員やブローカーの容疑者がデラソンを行い始めた。これにより、コスタ容疑者が部長を務めていた供給部やネストル・セルヴェロー氏が部長を務めていた国際部、レナト・ドゥケ氏が部長を務めていたサービス部が主体となり、巨大な組織的汚職が行われていたことが明らかになっていった。
 そこでは政治家の関与も明らかとなり、コスタ氏を供給部長に指名した進歩党(PP)や民主運動党(PMDB、現在のMDB)、労働者党(PT)など、当時の政権与党が種々の企業に対し、公社での事業契約で便宜を図った見返りに手数料としての賄賂を受け取っていたことなども明るみに出た。
 これらのことは14年の大統領選直前に明らかになり、ジウマ政権2期目の2015年には政権発足に関与した政治家の名前が大量に公表された。これにより、同政権の支持率が急落。財政責任法上の問題などとも絡み、2016年のジウマ氏罷免の遠因となった。
 コスタ氏は累計70年を超える実刑を受けていたが、膵臓癌により、リオ州ペトロポリスのサンタテレーザ病院に入院していた。

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