サンパウロ市リベルダーデ区にあり、癌治療の代表的施設のACカマルゴ病院が、統一医療保健システム(SUS)による治療契約を更新しないことを決めた。これにより、新規の癌患者は同病院でのSUSによる診察・治療が受けられなくなると14、15日付現地紙、サイトが報じている。
SUSは全国民が無料で医療サービスを受けられるようにするために作られた公的なシステムで、貧困層には特に重要な存在だ。
同病院によると、契約打ち切りは、SUSによる癌患者の診察や治療、手術の報酬額は医療保険患者が支払う額の6~29%で、SUSでの対応で生じる経費を他の收入で埋める状態が続いているからだという。SUSの報酬表は何年間も改訂されていない。
2021年の場合、SUS対応の患者4万3415人に要した経費中、SUSが払ったのは3600万レアルのみ。SUS以外の一般患者からの收入13・2億レアルから9840万レアルを埋め合わせた。2020年は4万7255人に対応し、3610万レアルを受け取ったが、1億2080万レアルを持ち出した。
同病院では既にSUSでの新規対応を減らしており、SUSの患者6500人中1500人を他の病院に転院させた。残る5千人も契約満期の12月までの対応の予定だ。
同病院によると、南部ヴィラ・サンターナのジルソン・デ・カシア・マルケス・カルヴァーリョ病院など、複数の病院がSUSで癌治療に対応可能だというが、SUSの癌患者登録システム(Cacons)では3千人以上が病院の空き待ちとなっている。
ACカマルゴ病院は1953年創業で、当時から、宗教団体や移民団体の後ろ盾に頼らない病院としても異色の存在だった上、低所得者への癌治療などで知られていた。サンパウロ市の場合、アルベルト・アインシュタイン病院やシリオ・リバネス病院で癌治療を受けたい人は、高額の医療保険に加入する必要がある。