「パンデミック中、日本からの年金が突然届かなくなった人があちこちにいます。日本からの郵送再開の連絡を待たずに、こちらから自主的に現況届と在留証明を所定の年金事務所に送った方が無難です」――サンパウロ市にある国外就労者情報援護センター(CIATE、二宮正人理事長)の年金担当、秋山アケミ・アンドレザさんが、そう呼びかけている。
日本年金機構サイトには《新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、郵便の受付が停止されている海外の国・地域に居住する受給権者の方(提出期限が令和2年2月末日以降である方に限ります)については、それぞれの国・地域において郵便の受付が再開された後3カ月後までの間、年金の支払いを差し止めないこととしています。なお、該当する受給権者の方には、郵便の受付の再開後、個別に届書の提出についてご案内させていただきます》(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20150129.html)と書かれている。
もちろん、ブラジルは郵便が「再開された国・地域一覧」(令和4年6月24日更新)には入っていない。だから、当面年金の支払いは差し止められないはずだが、現実には停止されるケースが頻発しており、CIATEには相談がひっきりなしに舞い込んでいる。
在外の年金受給者は毎年、同機構サイトにある「現況届」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/kyotsu/20140421-10.html)に、在外公館が発行する「在留証明」を添付して、自分が加入している日本の年金事務所に送付することが義務付けられている。ただし、パンデミックの間は日伯間の郵送業務が停止されたため、その書類を送らなくても送金は停止されないはずだった。
ところが、アンドレザさんは「厚生年金でも国民年金でも、突然止められたという相談が舞い込んでいます。そういう方には現況届をサイトからダウンロードして記入し、総領事館に在留証明を出してもらって、日本に送ることを勧めています。それが届くと送金が再開されているようです」という。
日本国籍者の在留証明は総領事館が発行しているが、ブラジル籍者には出ないので、それに代わるポ語書類をCIATEで作成している。
送金を停止される前には何の連絡もなく、突然止められるという。「日本で就労中に年金を支払っていて、現在はこちらに住んでいるブラジル国籍者にも同じことが起きています」とのこと。
パンデミック中に多くの年金受給者が亡くなり、その遺族が遺族年金を受け取る手続きをする際にも問題が起きている。「年金事務所から発行してもらう書類が必要になっても、ブラジルへ郵送してくれないので、日本側に代理人を立てて、その人に取りに行ってもらい、しかも何度もお願いしないと書類を出してくれないケースがあります。その場合、書類がそろうまで遺族年金は受け取れません」
日本の年金に関する相談はCIATE(電話:11・3207・9014)、日本語は影山新専務理事、ポ語はアンドレザさんまで。平日の10時半から16時半まで対応。