日本在住の日系ブラジル人高校生の現状を描いた朴正一監督の映画「ムイトプラゼール」が8月27日から9月2日まで、池袋シネマ・ロサ(東京都豊島区西池袋1丁目)にて、一週間限定で上映される。
同映画は、群馬県にある実際のブラジル学校で撮影を行い、出演者も主演の鄭順栄(在日コリアン)をはじめ、生徒役も日系ブラジル人が演じ、リアリティを高めた。
同映画の構想は、朴監督が4年前、日本電機メーカー・パナソニックの映像制作講座の講師を務めたときに出会ったブラジル人との交流を通じて生まれた。
朴監督は本紙姉妹紙NipponJaの取材に対し、「私も在日韓国人として、在日ブラジル人の経験や苦労には大変共感できる点がありました。しかし、ブラジル人のほとんどが日本社会と直接的な関りを持っていなかったことには衝撃を受けました。この映画が、日本人が在日外国人の置かれている環境について考えるきっかけになれば」と述べた。
朴監督は、1996年から2008年まで日本で開催された自主映画の映画祭「インディーズムービー・フェスティバル」の第9回にて、自主映画『男!ドあほう Rock’n Rollers』で準グランプリを受賞。同映画では監督の他に脚本、編集も担当した。
日系ブラジル人歌手のマルシアさんは映画広報資料の中で、「ブラジルに限らず、世界から日本にやってくる子供たちへ平等に教育を与える。それが日本と世界の国々からやって来る人々の両間にとってより豊かな未来が広がる事と信じてやみません。子供たちは未来です。朴監督の今回の作品が現状を改めて考え直す一つのきっかけとなる事を心から願います」と述べている。
【映画あらすじ】日本学校で国際交流部顧問を務める金本は、ブラジル学校での交流会に参加するため、部員を連れてブラジル学校を訪れる。国際交流部は「いろいろな国の人達と仲良くなろう」をテーマに活動している。しかし、ブラジル学校の生徒の中には、過去に日本学校へ在籍していた際、差別やイジメにあい、ブラジル学校へ来た者もおり、交流会で日本学校生徒らと衝突する。在日外国人の現状を知った日本人生徒は、次第に意識を変化させていく。