《ブラジル》法定アマゾン=伐採面積は1万平方キロ超=Imazonの調査で判明=15年間で最大の数字に

年間伐採面積の推移(17日付G1サイトの記事の一部)

 【既報関連】アマゾン人間・環境院(Imazon)が17日、2021年8月~2022年7月の法定アマゾンの森林伐採面積は1万781平方キロで、統計開始以来の15年間で最大だったと発表したと同日付現地サイトが報じた。
 この数字は国立宇宙研究所(Inpe)が12日に発表した8590平方キロを上回っている。Inpeが月次報告などに使っているDeterと呼ばれる衛星観察システムは3ヘクタール以上からしか観測できないのに対し、Imazonが使用しているSADと呼ばれる観察システムは1ヘクタールから観測できるからだ。
 Imazonによると、21年8月~22年7月の伐採面積は1万781平方キロで、2020年8月~21年7月の1万476平方キロを上回った。SADによる観測結果が残っているのは2008年度(2007年8月~08年8月)からで、08年の5027平方キロ以後、2009~2018年までは1050~4295平方キロで、08年の記録以下だった。
 2019年以降は5057平方キロ、6543平方キロ、1万476平方キロ、1万781平方キロと4年連続で新記録を更新中だ。

森林伐採の現場の一つ(Marizilda Cruppe/Amazon Watch/Amazônia Real)

 この傾向はInpeのデータと同様で、ボルソナロ政権に入ってからの森林伐採増加傾向が、2019年以降の年間伐採面積の新記録更新を招いた事を明らかにしている。ただし、Inpeのデータでは20年以降は僅かだが減少していたが、Imazonの方は増加が続いている。
 ボルソナロ大統領は2018年選挙で当選した直後から、法定アマゾンの開発や先住民居住区での鉱物採掘などを容認する発言を繰り返し、伐採面積拡大や金の不法採掘増加などを招いた。今回選挙でも次期政権での方針として同様の政策を進める意向である事を示す発言を行っている。
 法定アマゾンは9州にまたがり、国土全体の59%を占める熱帯雨林で、森林伐採や森林火災の増加は同地域に住む先住民をはじめとする住民の健康や生態系を損なう上、地球温暖化にも深刻な影響を与える。法定アマゾンでは既に気温上昇や降水量の減少の他、農作物への潅漑が困難になり、収量が減るなどの問題も起きている。

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