「広島、長崎の原子爆弾による犠牲者、第2次世界大戦の犠牲者、今も打ち続く戦争の犠牲者の苦しみをかえりみて、彼らの魂に永遠の安息を与え、絶えざる光を彼らの上に照らしたまわんことを」。サンパウロ市サンゴンサロ教会の14日午前8時からの日本語ミサで、ブラジル長崎県人会(森繁親会長)の申し出により、被爆者への慰霊の祈りが行われ、共同祈願で冒頭の文言が唱えられた。ミサの様子はオンライン生中継された。
ミサは山本伊三男神父が司祭を務め、約30人が参加した。山本司祭はルカによる福音書12章49―53節《あなたがたは、私が地上に平和をもたらすために来たと思うのか。そうではない。言っておくが、むしろ分裂だ》を朗読し、現在世論がボルソナロ派とルーラ派に両極化していると例証した。
さらに「インフレが高まると金持ちはより豊かになり、貧困者はより貧乏になる。最低賃金で暮らしている者にとってインフレは10%余りではなく、80%を超えている。そう批判するものは権力者から憎まれる。だが言わなければならない使命がある」と語った。
「広島長崎35万人の被爆者のために祈りましょう。どうしてこんなことが起こるかといえば、人間の欲です。それは神の国ではない」と続けた。
最後に、県人会の森会長の代理として大河正夫さんが演壇に立ち、「今ウクライナにおいて悲惨な戦争が行われており、戦況によっては核兵器を使うことが示唆されています。被爆者はそのようなことが再び起きないように日々呼びかけ、お祈りしています」と述べ、核兵器の廃絶を呼び掛けた。
ミサのあと、和田佐代子県人会副会長に話を聞くと「長崎からたくさんの被爆者がブラジルに来られたが、県人会員だった方の大半は亡くなった」と振り返り、「今年は県人会創立60周年だがパンデミックのために延期し、来年式年を行う予定です」と述べた。
1959年渡伯の大河さんによれば「私が来た頃には、この教会でミサをやっていた。広島は仏式、長崎はカトリック式と分担していたようだ」という。62年の長崎県人会創立時にはすでに慰霊ミサは行われていたようだ。