ロナルド・ベント市民相が19日、生活貧窮者向けの生活扶助アウシリオ・ブラジル受給者向けの天引きローン(emprestimo consignado)の利用規定を9月までに発表すると語ったと同日付現地サイトが報じた。
このローンは返済額をアウシリオから天引きする条件で行われる信用供与で、現政権はアウシリオの支給額増額と共に、アウシリオを保証金代わりにした融資のための正式な規定制定も進めている。
これは一見、金に窮している人達を助けるだけでなく、銀行も利用者も安心して使える融資に見える。だが、返済金がアウシリオから天引きされる上、来年からの受給額も確定していない。そのため、返済開始後は受給者の手元には従来通りの金額が入ってこなくなり、高金利がしばらく続くと予想される中、現在以上の借金地獄に踏み込む可能性さえある。
多くの銀行や消費者保護団体がアウシリオ受給者への信用供与に否定的な反応を見せ、規定公表の延期を求めているのはこの点を問題視しているからだ。
18日は、連邦貯蓄銀行(Caixa)がこの信用供与を行う意向を表明し、このローンの返済金利は低く抑えるとも語った。
しかし、大手民間銀行のイタウ、サンタンデール、ブラデスコなどは先週、より脆弱な人々を相手とする融資は行わないとの意向を表明済みだ。
大手の民間銀行は導入に否定的だが、と訊かれた市民相は、「天引きローン実施資格のある銀行は17ある」と答えたが、どの銀行に資格があるのかは明らかにしていない。
政府に対して信用供与の規定公表の延期を求めた諸団体は、金融機関に対して、低所得者が過剰債務に陥る事やその余波を防ぎ、責任ある対応を行うにはどのような予防措置をとるべきか研究するよう要請している。現時点での天引きローンの利息は最大で融資額の79%に達している。
なお、アウシリオの受給者でここ数カ月間に支払えなかったものがある債務不履行者は43%で、一般の48%を下回っている。