公立大学入学者の一部を人種的な特別枠とすることを定めた「レイ・デ・コッタス(割り当て法)」の施行から、29日で10年が経つ。同法の今後をめぐり、連邦議会内や大統領候補内で様々な視点からの再評価が試みられている。22日付現地紙などが報じている。
この法律は、勉学における社会格差をなくすために作られた。同法では大学入試の際、合格者の50%を1人あたりの世帯所得が最低給与の1・5倍までの家庭の子女で公立校在学(卒業)者に割り当てることと、その半数は当該州の人口比例に応じて、パルド(褐色)やプレット(黒人)、先住民、障がい者に割り当てることを定めている。
同法の施行時は「実際の学力に対して不公平だ」「学生のレベルが低下するのでは」との懸念があった。2011年は入学者に占めるパルドとプレットが35%だったが、2020年はブラジル全体の人口比率に近い46%に上がる効果を見せた。コッタの入学者とそうでない人の学力差も減ってきていると報じられている。
連邦議会では施行10年の節目で同法を見直しており、更新法案をめぐる準備も進めている。現行のままで継続することを望む議員が目立つが、保守系政党の下議で、「収入面のみを残して人種は無関係にするべき」との修正案を出そうとしている人もいる。
また、コッタの問題は大統領選の候補者を見る際にも違いが明快な点だ。ルーラ氏(労働者党・PT)は自身の後継者のジウマ氏の時代に成立した法令であるため、それを誇って売りにする言動が目立つ。シロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)も同法を高く評価し、公立大学や公務員の特別枠をさらに増やす修正案を公約に掲げている。
一方、ボルソナロ大統領(自由党・PL)はこの件には言及していないが、2018年の大統領選では「哀れみが生んだ典型例」との表現で批判していた。シモーネ・テベテ氏(民主運動・MDB)は「政治が二極化している。議論は来年以降に」との構えだ。