「援協(サンパウロ日伯援護協会)の巡回診療をきっかけに野球を始め、現在、アメリカのマイナーリーグで投手として活躍している選手がいる」―。8月13日にサンパウロ州カンピーナス市北部のコロニア東山(とうざん)日伯文化協会(大橋エジソン正則会長)で実施された巡回診療に同行した際、同地に住む元会長の深沢秀也(ひでや)さん(61、山梨県出身)にそう言われ、話を聞いてみると、その選手は、大橋現会長(52、2世)の一人息子である大橋ラファエルさん(19)であることが分かった。
ラファエルさんは現在、トロント・ブルージェイズに所属し、米国マイナーリーグ「シングルA」クラスで活躍している。
ラファエルさんは大橋会長と非日系の夫人との間に生まれた一人息子。10年ほど前にコロニア東山で行われた巡回診療を家族で受けた際、担当医師から「少し太り気味」と言われた。当時、コロニア東山で野球・ソフトボールの指導等に携わっていた深沢さんから「健康のために、野球をやってみたら」と助言されたことをきっかけに、9歳から地元コロニア東山チームで野球を始めた。
その後、メキメキと頭角を現し、ブラジル代表選手にも抜擢。2019年16歳の時、米国メジャーリーグのカナダチーム、トロント・ブルージェイズにスカウトされ、プロ契約を交わした。ブルージェイズは、1992、93年と2年連続でワールド・シリーズを制覇したこともあるチームだ。
父親の大橋会長も、コロニア東山チームで9歳から18歳まで野球を続けたが、プロ選手になることは叶わず、現在は地元で菊などの花卉栽培を行っている。
ラファエルさんは身長186センチ、体重90㎏の大柄な体格を生かし、150キロの速球とスライダーを武器に「シングルA」クラスで右腕投手として活動している。ここ数年はコロナ禍のため、一時ブラジルに戻っていた時期もあったが、憧れの「大リーガー」になることを夢見て、米国での野球生活を続けている。