ブラジルのみならず南米でも初のディズニー・キャラクターとなった「ホセ・キャリオカ(ブラジルではゼー・カリオカ、José Carioca)」が誕生80周年を迎えた。24日付現地紙、サイトが報じている。
ブラジル産のオウム「パパガイオ」をもとにしたゼー・カリオカが生まれたのは、1942年8月24日にディズニー映画「ラテン・アメリカの旅」が公開された日と定義されている。主人公を演じているのはディズニーのおなじみのキャラクター、ドナルド・ダックだが、彼の南米への旅行をブラジルで待っていたのがゼー・カリオカという設定だった。
43分間のアニメーション映画は、アカデミー賞で楽曲賞、作曲賞、音響賞の3部門にノミネートされるなど好評だった。興行的にも大成功だったため、ディズニーは1945年に続編の「三人の騎士」でもゼー・カリオカを登用。1948年の映画「メロディ・タイム」の挿話「バイアには行った?」にも登場している。
これは、現在のように「人種や地域の多様性」が叫ばれる80年ほど前の話で、その先駆性でも注目される。ブラジルからハリウッドに進出した女優カルメン・ミランダが大成功を収めたのもほぼ同じ時期だ。
ゼー・カリオカ誕生の背景には、1941年8月に、ウォルト・ディズニーがディズニー・アニメの代表作「ファンタジア」のブラジル公開を記念してリオを訪れたことがある。彼はこの時、ゼー・カリオカを描いたイラストレーターのJカルロスと出会っているが、ゼー・カリオカの着想を得たのがウォルトなのか、カルロスなのかは今も不明だ。
ディズニーで活動中のブラジル人脚本家のモアシル・ロドリゲスとジェルソン・テイシェイラは、ゼー・カリオカは「当時の多くのブラジル人がそうだったように、米国になじむように仕立て上げられ、ブラジルらしさはほとんどなかった」と分析している。ゼーはその後も映画やディズニー関連の出版作に登場しているが、「時と共に変化を続けている」という。
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