リオ州の選挙地域裁が23日、ロドリゴ・アモリン州議への訴状を全会一致で受け入れた。同州議はニテロイ市のベニー・ブリオリ市議に対して政治的ジェンダー(性)暴力を行ったとして告訴されていた。政治的性暴力は2021年8月に犯罪として法的に定められたもの。複数の判事による裁判で適用されたのは今回が初めてだ。
選挙検察によると、アモリン氏は5月17日の州議会での公開審議で、ニテロイ市初にして唯一の性転換女性市議のブリオリ氏を「自然の異常者」と男性名詞で呼び、その性器にも言及。この発言はテレビその他のメディアで生中継され、大きな反響を巻き起こした。
選挙検察はこの発言がブリオリ氏に対するセクハラ(性的嫌がらせ)であり、彼女を当惑させ、屈辱を与える事で市議としての任務遂行を妨げようとするものであるとして起訴。起訴状受理によりアモリン氏は被告となった。裁判日程は未定だが、政治的性暴力が確定すれば1~4年の実刑と罰金が科せられ、8年間は選挙に出られなくなる。
アモリン氏は2018年に当選したボルソナロ派州議。選挙期間中は、ウイルソン・ヴィッツェル前知事やダニエル・シルヴェイラ下議らと共にキャンペーンを行い、同年3月14日に殺害されたマリエレ・フランコ市議を顕彰するために同市議の名前を冠した道路の標識を割るという事件も起こしている。
選挙検察は、男性議員であるという事で、女性議員に嫌がらせをし、屈辱を与え、職務遂行を妨げ、侮辱的な方法で攻撃する事が許されるなら、刑法や政治的性暴力罪は成り立たないとし、議員特権の対象外とみなした。
この判断はボルソナロ大統領が下議時代に女性下議を侮辱して訴えられた時と全く同じだ。政治的性暴力を定めた法令は男性議員による性的暴力に曝されてきた女性議員が勝ち取ったもので、今年の統一選は同法が適用される初の選挙だ。
最近は、女性弁護士や被告家族が法学部教師でもある男性裁判官をセクハラなどで訴えたり、リオ市議がセクハラなどで罷免されたりと、関連報道が続いている。自分の欲望が抑制できず、時代の変化を認めない頑なな男性至上主義者が、職務を笠に着て犯罪行為を起こしているように思えてならない。(み)