28日、バンデイランテス局で大統領候補者らによるテレビ討論会が行われた。最大の注目の的は、ボルソナロ大統領(自由党・PL)が女性ジャーナリストを罵倒し、女性候補たちからの詰問に感情的になったことで、汚職に関する質問へのルーラ氏(労働者党・PT)の対処も不評だった。29日付現地紙などが報じている。
この日の討論会はボルソナロ氏、ルーラ氏、シロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)、シモーネ・テベテ氏(民主運動・MDB)、ソラヤ・スロニッケ氏(ウニオン・ブラジル)、フェリペ・ダヴィラ氏(ノーヴォ)の6人が参加して行われた。当初、討論会出席に難色を示していたボルソナロ、ルーラ両氏が参加することになったことで、放送前から高い注目を集めていた。
開始早々、ボルソナロ氏はルーラ氏に対し、「ペトロブラスでの大型汚職など、PT政権は最大の汚職政権だ」と批判した。ルーラ氏はこれに対し、自身の政権時(2003〜10年)に行った汚職対策について語った。他方、ルーラ氏は自政権での貧困削減、雇用増加などの功績を引き合いに出し、貧困者を3400万人に増加させ、なおも「ブラジルに貧困はない」と主張していたボルソナロ氏を批判した。
だが、問題は「ジャーナリストからの質問」の時に起きた。ボルソナロ氏が途中で女性ジャーナリスト、ヴェラ・マガリャンエス氏に対し、「ヴェラ、君に答えることなんてない。俺のことを考えながら寝ているに違いない。俺に関する嘘を言うのはやめろ。ジャーナリストの恥め」と高圧的に攻撃したのだ。
これは、直前にヴェラ氏がシロ・ゴメス氏に対して「子供のワクチン接種率が低下した」件について質問した際、「連邦政府がワクチンの情報に関して不適切な情報を流したことが関係あると思うか」と現政権を皮肉ったことに関して、大統領が過剰反応したという流れだ。これ以降、女性陣からの総攻撃を受けることになり、明らかに形勢が悪くなった。
この直後にはソラヤ氏が「男性にはチュチュッカ(おべっか使い)なくせに女性には虎のようだ」と、ボルソナロ氏が小競り合いをしたユーチューバーが吐き捨てて話題をさらった言葉を引用してボルソナロ氏を批判した。
さらにテベテ氏が「なぜそのように女性を敵視するのか」と厳しく詰め寄ると、ボルソナロ氏は「わが政権ほど女性に優しい政権はない」「全国の女性が私を愛している」と荒れ放題だった。
ダッタフォーリャによると、「誰に投票するか決めていない人」への調査で最も評価の高かった候補者はテベテ氏で、最低評価はボルソナロ氏だった。
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28日夜のブラジルはバンデイランテス局での大統領候補の討論会で持ちきりで、ボルソナロ大統領の女性ジャーナリストへの受け答えの仕方がとりわけ話題を呼んだ。そのジャーナリスト、ヴェラ・マガリャンエス氏がボルソナロ氏との対立で話題になったのはこれが初めてではなく、2020年にボルソナロ氏が反連邦議会のデモを呼びかけたことを批判した時も、話題となった。ヴェラ氏は政治番組の司会者としても知られているが、公開討論会ではこうした有名ジャーナリストとのかけひきも見どころだ。次の討論会は9月24日にSBT局で行われる。