チリ外務相のアントニア・ウレホラ氏が29日、28日に伯国のバンデイランテス局で行われた大統領選の候補者達の公開討論会でのボルソナロ大統領の発言を問題視し、サンチアゴ駐在の伯国大使を召喚した事を明らかにしたと29日伯字サイトが報じた。
これは、ボルソナロが公開討論会の終了間際に、チリ大統領のガブリエル・ボリック氏が2019年に起きた抗議行動の際、地下鉄に放火したと語った事を受けたものだ。
ボルソナロ氏は28日の討論会で、「ルーラ氏はチリの大統領も支援した。チリの地下鉄に放火するという犯罪行為を実行していた人物だ。いったいチリはどこへ行こうとしているんだ」と語っている。
チリの新聞「ラ・テルセラ」によると、ウレホラ氏はボルソナロ氏の発言を非常に深刻なものと受け止めており、これは政治のあり方ではないとチリ国民が考えている事や、民主的に選出された国家元首2人の間ではなおさら、イデオロギーの違いがあったとしても互いを尊敬・尊重する関係が必要であると確信している事などを語ったという。
ウレホラ氏は「ボルソナロ大統領の発言は明らかに虚報」とした上で、「極端に二極化した大統領選挙という文脈の中での偽情報、虚報という形で、二国間の関係を悪用した発言が行われた事は嘆かわしい」と語った。
外交官の議定書では明確化のために大使を召喚する事は不満を伝える方法で、今回の伯国大使召喚はボルソナロ大統領の行動に対する不満を表明するためのものと説明された。
だが、今回の大使召喚は国交断絶などを望んだものではなく、ウレホラ氏自身が、伯国との関係を強化する必要があるとし、「ボルソナロ大統領はこのような発言を行ったが、私達は兄弟民族として、様々な課題に直面し続ける事ができる事を望んでいる」と強調している。
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