慶応義塾大学医学部国際医学研究会(IMA)の「第45次派遣団」が7月27日に来伯した。同派遣事業は、コロナ禍による中断を経て、3年ぶりの実施となる。今回は同大医学生3人が英国、ブラジル、フィリピンを訪れ、各国の医療システムを学ぶ。2日に編集部を訪れ、活動報告を行った。
派遣団に参加したのは、同大6年生の橋本峻さん、渡邉夏実さん、中村凌輔さん。学生責任者を務める橋本さんは「高校生の頃から国際医学研究会に入ることが夢でした。コロナ禍で派遣団活動が無くなってしまうのではと心配していましたが、再開することが出来、ほっとしました」と語った。
派遣団は13日までブラジルに滞在し、サンパウロ州ボトゥカトゥ市の州立大学(UNESP)医学部訪問や、サンパウロ市の医療統一システム(SUS)病院の見学、サンパウロ大学(USP)医学生との交流、南大河州ポルト・アレグレ市のカトリック総合大学(PUC)との交流を行った。
渡邉さんはブラジルの医療事情を知る中で、「日本とは比べられないほどの貧富の差を目の当たりにして、医学生として6年間学んできたことの意味について改めて考えさせられました」と語った。
派遣団は滞伯後、フィリピンへ渡り、首都マニラにある世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局で実習を行う。中村さんは「ブラジルではOBの方々を始めとする協力者の皆さんのおかげで、事業を無事成功させることが出来ました」と感謝を述べ、残る派遣事業への期待を大きくした。
一行を引率した同医学部専任講師の松原健太郎教授は「医学部生は社会と触れ合う機会があまりなく、何も知らないで医者になる人たちも多くいます。派遣事業が彼らにとって良い社会勉強となり、多くのことを学ぶきっかけになればと思います」と話した。