1日夜、サンパウロ市ジャルジン・パウリスタ区の民主社会党(PSDB)州本部で発砲事件が起きたと同日付現地サイトが報じた。
事件が起きたのは1日午後7時頃で、防犯カメラの映像には、州本部の入り口で2人の男性が言葉を交わした後、1人が中に入って行ったのを見た男が、服の下から銃を取り出し、前方上部に向けて発砲後、立ち去った様子が残っている。
通報を受けた市警は現場に急行し、州本部の入り口にあるホールの上方壁面に飾られているPSDB州支部長のマルコ・ヴィニョリ氏の写真に弾痕が残っているのを確認した。
発砲したのは、PSDBと連立を組み、ロドリゴ・ガルシア知事(PSDB)の再選を支援しているAvante所属のロッケ・バルビエレ州議だ。現地サイトは、同氏はヴィニョリ氏との会合が予定されていたが、遅刻してキャンセルされかけて苛立ち、発砲したようだと報じた。
だが、ヴィニョリ氏は2日、事件の経緯は知らないし、1日夜は現場におらず、会合の予定もなかったと語っている。
バルビエレ州議は不逮捕特権故に身柄拘束などは起きておらず、同氏の銃が合法的なものかや銃携行が認められていたかも不明だ。
同件での損害はヴィニョリ氏の写真の弾痕のみだが、選挙前で政治的暴力等の犯罪多発が案じられる中での事件に懸念が広がった。
選挙高裁は8月30日に投票日とその前後の4日間は投票所や特定の建物の周囲での銃携行を禁じた。この措置も、銃所持者や銃を使った政治的暴力の増加を懸念したものだ。
ボルソナロ大統領は就任後すぐに銃規制緩和を行っており、収集家、射撃競技の選手や愛好家、猟師といったCACと称するグループが所持する銃が、2018年末日現在の35万683丁の約3倍の100万6725丁に増え、警官や軍が持つ銃の数を超えた。銃の種類も増えている。
また、銃の規制緩和の擁護者が大統領の再選支援と引き換えに役職を求めているとか、擁護者らが銃や銃弾、防弾チョッキの輸入を容易にしようと働きかけている中で、軍が輸入品の管理から手をひく準備中との報道もある。選挙前という条件がなくても、銃犯罪の増加は懸念事項だ。