《ブラジル》最高裁が独立記念日の警備を強化=ボルソナロ派デモの過激化恐れ=選挙の行方占う重要な1日

6日の三権広場周辺(Jose Cruz)

 7日の独立記念日に関し、最高裁がボルソナロ大統領支持者たちの中の過激派の暴力行為を懸念し、警備体制を強化している。大統領はかねてから、この日が「選挙前に街に繰り出す最後の機会」と煽っている。4~6日付現地紙、サイトが報じている。
 ここ数日、複数の現地メディアでは、ボルソナロ大統領が支持者たちに呼びかけた全国的なデモに関し、「体制攻撃を緩和させた、穏やかな抗議を求める声が支持者内でも優勢になっている」と報じられている。
 それでも、3千万人ほどとされているボルソナロ氏のネット上のフォロワー(支持者)の中には、「軍を立ち上がらせろ」のようなクーデターを訴えるかの主張や、最高裁は「ブラジルの敵」「悪魔を駆逐せよ」などと狂信的な煽りを行っている集団も少なからず存在する。
 実際、昨年の独立記念日にも反最高裁デモが行われたが、その際も、トラック運転手たちが前日の夜に三権広場にトラックごと侵入し、そこで寝泊まりするといった威嚇行為が行なわれている。
 今回の独立記念日でも、ブラジル労働党(PTB)のロベルト・ジェフェルソン党首や極右系ジャーナリストのアラン・ドス・サントス氏らが選挙高裁長官を兼ねるアレッシャンドレ・デ・モラエス判事を敵視し、過激な言葉で支持者らを煽る動画の掲載や投稿を行っている。二人はいずれもモラエス判事からネット犯罪者捜査で処分を受けており、前者は逮捕後に自宅軟禁中。後者は逮捕命令が出て、米国に逃亡中の身だ。
 また、サンタカタリーナ州でも2016年に軍政復活を求めて連邦議会侵入事件を起こした州議候補のジレタ・コレア・ダ・シウヴァ氏が抗議活動を求めるなど、暴力が心配される動きがある。
 最高裁はこの日に備え、半年前から警備体制を強化している。一部報道によると、全国では既に、審査を通った警察官2万5千人を配備。これは昨年の独立記念日の7割増しの人数で、三権広場周辺の警備はとりわけ厳重になっている。
 また5日には、最高裁のエジソン・ファキン判事が、ボルソナロ大統領が出した銃規制緩和の大統領令の一部を差し止める司法判断を下しており、銃携行も難しいものとなっている。ファキン判事の司法判断に対し、ボルソナロ氏の側近は逆に、「大統領を刺激し、独立記念日での暴力的な感情を煽った」と批判的な見方をしている。
 ただ、最高裁の中でも、「昨年の独立記念日と比べ、最高裁に対する国民の暴力的な感情は和らいでいる」と見る判事の方がむしろ多いという。
 ボルソナロ氏は、抗議行動だけが目的ではなく、福音派や農業関係者、自身を支持する企業家らを動員して、この日を自身最大の選挙キャンペーンにしたい意向でもあるという。そういう意味では、この日の成否が大統領選の行方を占うものになりそうだ。
 なお、独立記念日の記念イベントが行われるブラジリアの三権広場は、トラックなどの侵入を防ぐための措置が前倒しされ、5日夜から封鎖されている。

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