10月の選挙で史上初めて、通常の集計とは別に軍が並行集計を行うことが11日に発表された。選挙高裁はこれを「投票の透明性を強化するため」としているが、民主政治復活後に軍が選挙に関与することに関して懸念の声があがりはじめている。13日付現地サイトなどが報じている。
今回決まったのは、全国385会場の集計所で、通常の集計と同時に軍も集計を行う、というやり方だ。今回の投票から、集計用紙にQRコードが埋め込まれることになっているが、軍が投票の際に投票者のQRコードを写真に収め、それを軍のサイバー対策課に送る、というやり方を行うという。軍による集計結果は、選挙地域裁を通じて、選挙高裁に送られるシステムになっている。
このやり方は8月31日に軍と選挙高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス長官が行った会議で決まったもの。QRコードを写真に撮って送るという方式もこのときに決められた。そうすることで軍による並行集計での時間のロスを少なくするという。
この会議ではこの他にも、選挙前の電子投票機の最終テストで、軍の求めるやり方の一部も採用されている。
この会議の結果は、パウロ・セルジオ・ノゲイラ国防相を通し、選挙システムへの不信を煽り続けていたボルソナロ大統領にも伝えられている。これに関しては、ボルソナロ氏も6日、ジョーヴェン・パン局でのインタビューで「これで選挙の透明性が100%に近くなったというが、100%ではない。私が求めた印刷つき電子投票(ヴォト・インプレッソ)さえ導入されていれば、1年前には解決できた問題だったのだ」と、なおも不信感を語っている。
だが、その翌日の独立記念日は、大統領も選挙高裁に対する不信感を口にせず、世論調査のやり方に不満を示すなど、これまでと比べてかなりトーンを落としていた。
選挙高裁と軍はここ数カ月間、緊迫した状態にあった。前長官のエジソン・ファキン最高裁判事のときは、「軍が直接的に選挙に関与することは認めない」とする態度から話が平行線のまま、対立を強めていた。
だが、8月に就任したモラエス長官は、「ネット犯罪者捜査」を通じてボルソナロ大統領やその支持者に対し最も厳しく対処してきたイメージとは裏腹に、軍との関係は以前から友好的であることが伝えられており、今回も一歩引いて、「軍を協力させることで透明性を上げる」というやり方を選んだ形となった。
だが、このやり方に対し、ネット上などでは不信の声が上がっている。それは軍の要請はボルソナロ氏の願いに従って行われたものであるため。「集計に携わる軍人に本当に党派性はないのか」「軍が正しくない方法で集計を行って、選挙を混乱に陥れることはないか」などと疑問視する声が上がっている。