《ブラジル》「ルーラ支持なら配給ナシ」発言で波紋=大統領支持者が貧困者用弁当で

問題となった動画(Twitter)

 サンパウロ州内陸部イタペーヴァで、貧困者にマルミッタ(弁当、配給食料)を配っていた企業家のカシオ・ジョエル・セナリ氏が、ルーラ氏を支持する女性への支給を拒絶した映像がネット上で強い批判を浴びた。その動画をルーラ氏が拡散したことで全国的な問題となった。11、12日付現地紙、サイトが報じている。
 家政婦のイルザ・ラモス・ロドリゲスさんは、少ない収入で家族3人を扶養しているだけでなく、別の二つの家族も養っており、毎週水曜日にマルミッタを受け取っていた。
 動画には、イルザさんは質問を受けて「大統領選ではルーラ氏に投票する」と語ると、セナリ氏が「ルーラ? では、今後はもう支給はなしだな。今日が最後だ」と冷たく言い放った様子が映っている。イルザさんや近隣住民がその言葉を疑い、聞き返した。だがセナリ氏は「冗談ではない。本気だ」と言って立ち去った。
 イルザさんは録画されたことに驚き、セナリ氏の言葉に絶望。親戚にこんなことが起きたと語った後も毎週、マルミッタを待っていたが、セナリ氏は2度とマルミッタを届けには来なかった。
 セナリ氏は動画録画前に「ボルソナロ!」と叫ぶほどのボルソナロ大統領支持者で、ボルソナロ派を多く抱えるブラジル労働党の党員でもあった。
 動画をネットに挙げたのはセナリ氏で、人権派ジャーナリスト団体「ジョルナリスタス・リヴレス」のツイッター・アカウントが拾ったことで一気に拡散。これがルーラ氏の目に止まり、「困った人への援助を政治信条の違いから拒絶するのは人間性の欠如に他ならない」と批判したため、問題がさらに大きくなり、週末のネット上での最大の話題の一つとなった。
 セナリ氏は11日に「後悔している」と語り、謝罪も行ったが、この件に対する社会的反響は大きく、批判の声は続いている。それに追い打ちをかけるように、同氏がコロナ禍の緊急支援金を不正な方法で15回、計5千レアル以上受け取っていた事実も報じられ、火に油を注いでいる。

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