ローザ・ウェベル氏が12日に最高裁長官に就任し、就任挨拶で大統領の名前こそ挙げなかったが、民主主義擁護を強調する言葉を述べた。法律の専門家としての冷静沈着な見方を貫き、メディアでの挑発的な発言を控えるタイプとマスコミでは評されている。10月の大統領選挙時の長官としても注目されている。12、13日付現地紙、サイトが報じている。
就任式には三権関係者ら350人ほどが出席した。会場にはアルトゥール・リラ下院議長、ロドリゴ・パシェコ上院議長、ジョゼ・サルネイ元大統領などの姿が見られたが、大統領選を争っている最中のボルソナロ大統領とルーラ元大統領は欠席した。
就任挨拶でローザ長官は、「信仰の自由を認めつつも、特定の宗教に偏らず、どの人でも平等に扱われる社会で憲法を実践したい」とした。これは例年になく強い「政治の二極化」が起きている中でのヘイト・スピーチなどに釘を刺したものといえる。
また、同長官は最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が長官を務める選挙高裁判の進める選挙システムを強く擁護し、大きな喝采を受けた。これは、選挙の投票システムに猜疑心を抱き続けるボルソナロ大統領に向けた言葉として理解されたためだ。
ローザ長官の就任挨拶の前にはカルメン・ルシア判事によるスピーチも行われたが、同判事も大統領の名こそ出さなかったが、司法機関に対する攻撃行為を批判していた。
ローザ同長官はさらに、「法的に要請されたことを遵守しない状態では民主主義は実践できない」とも発言。これも、これまで同長官が行ってきた厳しい命令にしばしば逆らってきたボルソナロ氏を思い起こさせるもので、ここでも拍手が起こった。
ローザ氏は2011年に当時のジウマ大統領の指名を受け、最高裁判事に就任。女性の最高裁長官はエレン・グラシエ氏、カルメン・ルシア氏についで史上3人目となる。
最高裁長官の任期は通常2年だが、ローザ氏は来年10月に75歳となり、定年を迎えるので、1年ほどの任期となる。