《ブラジル》3割の世帯で食料不足=北部と北東部は危機的

一皿盛りにした食事の一例(Agencia Brasil)

 ブラジルの家庭の約3割が食料不足に陥っており、北部、北東部ではより深刻であることがわかった。14日付現地紙、サイトが報じている。
 これは、14日に公表された食の主権と安全保障に関する全国調査(PENSSAN)でわかったものだ。
 同調査では食料に関して「充足」「ほぼ充足」「やや不足」「不足が深刻」の4段階で評価しており、下から二つの「不足」の合計が全国では30・7%(「やや不足」15・2%、「不足が深刻」15・5%)を占めていることがわかった。
 北部と北東部になるとさらに厳しく、北部では「不足が深刻」が25・7%、北東部でも21%を占めている。「やや不足」も含めると、両地域ともに40%前後となる。
 州別に見ると、最悪はアラゴアス州で「不足が深刻」が36・7%で、「やや不足」の18・2%も含めると、半数以上の家庭が食料不足に直面していることがわかる。「不足が深刻」はピアウイ州(34・3%)、アマパー州(32%)、パラー州やセルジッペ州(ともに30%)でも高い。
 また、食の安全が脅かされている人の数を見ると、最も多いのはサンパウロ州の2612万4千人で、2位のミナス・ジェライス州の1124万2千人の2倍以上に達している。3位はリオ州の997万2千人だ。聖州では「やや不足」が12・9%、「不足が深刻」が14・6%だった。
 食料不足は1人あたりの世帯収入が最低給与の半額以下の家庭ほど顕著で、その世帯層ではセルジッペ州の76・5%が筆頭だ。北東部では軒並み65%以上を超えており、最も少ないサンパウロ州でも58・4%が食の危機に直面しているとの数字が出ている。
 リオ連邦大学栄養研究所のロザーナ・サレス氏は社会福祉政策のアウシリオ・ブラジルの適用範囲が1人あたりの収入が最低給与の半分までの世帯の全てには及んでいないことを問題視し、「このままでは不安定な状態が続く」と語っている。
 同調査では、パンデミックで起きた世帯収入の低下と高インフレが状況を悪化させたとの指摘も行っている。

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