フランス映画界の巨匠で、世界的な映画運動「ヌーヴェルヴァーグ」を牽引したジャン=リュック・ゴダールが13日に、91歳で亡くなった。「ブラジル映画界最大の監督」としばしば称され『黒い神と白い悪魔』(1964年)、『狂乱の大地』(1967年)などで知られるグラウベル・ロシャにも、ゴダールは強い影響を与えていたことで知られている。
「ヌーヴェルヴァーグ」のブラジル版「シネマ・ノーヴォ」の代表監督だったグラウベルの評判はゴダール本人にも届き、1969年に二人の面会が実現した。
その結果、グラウベルはジガ・ヴェルトフ集団の第4作『東風』(1968)に出演した。イタリアで撮影された極左の西部劇だ。グラウベルはブラジルが軍事独裁政権時代の1871年に亡命して、スペインやチリ、ポルトガルといった様々な場所に移住した。
そのゴダールの映画がかつてブラジルで検閲にかけられたことがあったことが、今回の訃報に合わせて記事で出ている。
1986年の映画『ゴダールのマリア』だ。それは検閲が厳しかった軍政が終わった翌年にも関わらず、聖母マリアの描き方に物議を醸す部分があったことから、時のジョゼ・サルネイ政権から内容の一部の検閲を受けた。
サルネイ大統領は、ブラジル文学協会メンバーの詩人で芸術表現には理解があるはずだった。だが、それでもゴダールの尖った表現には耐えられなかったようだ。
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