低筋力と貧血に死のリスク=食事や運動に気をつけよう

貧血と筋力低下が起きている高齢者は死のリスクが高いと報じる8月29日付のアジェンシアFapespの記事の一部
貧血と筋力低下が起きている高齢者は死のリスクが高いと報じる8月29日付のアジェンシアFapespの記事の一部

 少し前になるが、高齢者は筋力低下と貧血が重なると10年以内に亡くなる可能性が男性で64%、女性で117%高まるという記事を見た。この記事はサンカルロス連邦大学(UFSCar)とロンドン・カレッジ大学が実施し、サンパウロ州調査研究支援機関(Fapesp)が支援した調査結果を報じたものだった。
 コラム子もコロナ禍を契機に在宅勤務となり、最近はなおの事、運動不足を感じていた。記事内容は他人事と思えず読み返すと、5310人の高齢者を10年間観察した結果、貧血がある男性の死亡リスクは58%高く、筋力が落ちた女性のリスクは68%高かったという。
 二つの要因が重なるとリスクはより高まるが、その影響は女性の方が深刻だ。UFSCarのマリアネ・マルケス・ルイス教授は、「二つの要因が重なった女性は10年以内に亡くなる可能性が倍以上になるというのは、非常に大きな数字だ」とした上で、医師の指導をきちんと受け、貧血や筋力低下の原因解明と対策を行うように勧めている。
 UFSCarのチアゴ・ダ・シルヴァ・アレッサンドレ教授によると、貧血になると体内に酸素が行き渡りにくくなり、毛細血管の減少や心機能障害などを引き起こすという。貧血に伴うヘモグロビンや鉄の不足と、筋力低下による筋骨格系での赤血球の産生減少が重なると問題はなおさら深刻化するようだ。
 貧血や筋力低下の他、加齢、喫煙、伴侶や家族の有無、運動習慣、記憶力、心臓や肺の疾患やガンの有無なども死のリスクと関連があるという。
 加齢は止められないが、その他の項目は定期的な検診、検査や生活習慣の見直しなどである程度コントロールできる。筋力低下は転倒、骨折の原因にもなるし、骨折が寝たきりにつながる例も多い。
 筋肉や血を作るには良質のタンパク質が要るし、貧血や骨粗鬆症を予防・治療するには鉄やカルシウムが豊富な食材摂取が必要だ。カルシウムが骨に定着するにはビタミンDや運動も不可欠だから、1日中コンピューターやテレビの前に座りっぱなしという生活も見直し対象に入ってくるはずだ。(み)

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