国際音楽フェス三昧のブラジル

今年のロック・イン・リオの出演者(facebook)
今年のロック・イン・リオの出演者(facebook)

 パンデミックの影響で3年ぶりの開催となった世界的音楽フェス「ロック・イン・リオ」が11日に終了した。本格的なライブ興行が戻ってきたことの喜びと、世界的知名度を誇るアーティストが一堂に会していることから、コンサートの模様は連日連夜、全国的に生中継され、開催期間中の2週末は国内の話題を独占していた。コラム子も2011年以降、同フェスの様子はテレビでずっと見てきたが、過去6回の中でも今回が一番盛り上がっていたように思う。
 だが、ブラジルが誇る世界的音楽フェスは「ロック・イン・リオ」だけではない。サンパウロ市には2012年から毎年3月に行なわれている「ロラパルーザ・ブラジル」がある。
 「ロック・イン・リオ」には既に地位を確立した大物アーティストが多く出演し、「ロラパルーザ」には将来性があり、刺激的な表現を行うアーティストが出演する傾向がある。「ロック・イン・リオ」は7日間で40万人以上を動員するが、「ロラパルーザ」も3日間で30万人近くを動員する。「ロラパルーザ」の存在はサンパウロ市の音楽ファンの誇りとなり、「ロック・イン・リオ」に対して強いライバル意識も生まれている。
 そして驚くべきことに、今年11月にはサンパウロ市でもうひとつの大型フェス「プリマヴェーラ・サウンド」が行われる。「ロラパルーザ」はアメリカのシカゴから進出した音楽フェスだが、「プリマヴェーラ」はスペインのバルセロナが拠点で、うるさ型の音楽通の間でとりわけ評価の高いイベントだ。すでに発表された出演者も「ブラジル音楽フェス史上最高」との呼び声もあがっており、期待が高まっている。
 それにしてもブラジルでは、10年前までは「ロック・イン・リオ」が10年に1度開催されていただけだったが、今や3つもの世界的音楽フェスが行われるようになった。日本の「フジロック」と「サマーソニック」も世界的に有名だが、今や開催イベント数ならブラジルが上回っている。
 業界筋によれば、アーティストにとって南米は「魅力的な地域」と認識されているという。南米諸国は、少子高齢化を迎えていないため観客に若年層が多く、コンサートではどの地域よりも熱狂的に反応してくれるので、アーティストも良いパフォーマンスが出来、再び南米で公演を行いたくなるという。
 南米の音楽ファンの熱意が世界の音楽市場の地図を変えつつある、ということなのかもしれない。(陽)

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