いけ花協会=60周年記念花展盛大に開催=寄り抜きの78作品が一堂に

最後の仕上げに余念がない池田美保子師範
最後の仕上げに余念がない池田美保子師範

 「3年ぶりの展示会。『ようやく』という気持ちで生けています」――16日朝、ブラジルいけ花協会設立60周年を記念する生け花展会場に足を運ぶと、翌日からの一般入場に向けてその場で花を生けている姿があちこちで見られた。
 冒頭の言葉は、香月流華道研修会の池田美保子師範のものだ。蘭やモミジ、椿など日伯を代表する花が調和して佇む後ろに、苔の生えた松が勇壮に枝を伸ばす。まるで盆栽と生け花が融合したようなダイナミックな作品を制作中だった。
 作品のテーマはずばり「60年」だ。「私自身が生け始めて60周年になります。振り返ってみると、あっという間でした。その間、いろいろな先生にお世話になり、私にも苔が生えてきました(笑)そんな心情を作品に込めてみました」と協会の歴史に重ねた。
 入り口すぐ左では、華道家元池坊華道会ブラジル支部の河村徳子支部長と娘の河村リナ講師が作品を作っている最中だった。輪を描くブラジル原生の蔦を背景に、手前にアウグスタという大きなつぼみから白い花が鳥の翼のように伸びている作品だ。
 作品のテーマを尋ねると「和と美」とのこと。「アウグスタの形が鳥に似ているので、コロナがようやく終わりに近づいて、これから羽ばたく様子をイメージしています」と説明した。
 60周年花展は17、18日午前9時から午後6時、サンパウロ市リベルダーデ区のブラジル日本文化福祉協会文化スペース(Rua São Joaquim, 381)で開催。入場無料。8つの生け花流派による伝統的、前衛的な作品78点が一堂に展示される。

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