20日、サンパウロ州内陸部で世論調査機関「ダッタフォーリャ」の調査員がボルソナロ大統領の支持者から殴る蹴るの暴行を受ける事件が起きた。大統領の支持者が世論調査で最も注目される同機関の調査員を攻撃するトラブルが相次いでいる。21~22日付現地紙、サイトが報じている。
事件が起きたのはサンパウロ市から378キロ離れたアリラーニャ市。被害者となった調査員がアンケートをとっているのを見て近づいてきたラファエル・ビアンシーニ氏が、自分もアンケートに答えると言って来た。
調査員は自分から答えると言ってきた人は対象にしないよう指導されているため、相手にせず、インタビューを終えた。そのとたんに背後から殴る蹴るの暴行を受け、使用していたアンケート調査用のタブレットを破壊された。加害者はアンケート中も道の真ん中で、「ルーラ氏の票ばかり集計する」「馬鹿野郎」などの罵声を浴びせていたという。
暴行に驚いた調査員は対抗しようとしたが、ビアンシーニ氏の息子も暴力を振るってきたという。暴行は近隣住民の仲裁で止められた。
同件は既に市警に報告されており、ビアンシーニ氏は捜査を受ける可能性がある。ビアンシーニ氏は漁師を生業としているが、ネット上では熱心なボルソナロ大統領支持派として有名でもあった。
ダッタフォーリャのディレクター、ルシアナ・チョン氏は「調査員はやるべき仕事を果たしただけで、臆病な人物による暴力被害を受けた。決して許される行為ではない」との抗議文を発表した。
ダッタフォーリャは大統領選の世論調査でもっとも参照にされる機関だが、自分に不利な結果が出続けているため、ボルソナロ氏が敵視している。その傾向は、攻撃対象を従来の選挙高裁からダッタフォーリャに変えた7日の独立記念日以降、より顕著となり、ゴイアス州では調査員が押し倒されて負傷。リオ・グランデ・ド・スル州でもボルソナロ派の警察官が調査員を不当に連行するといった事態が起こっていた。