《ブラジル》国防相らが選挙高裁訪問=開票集計の現場を見学=長官が改めて透明性強調

選挙高裁を訪問した人々に随行するモラエス長官(前列右から2人目、28日付G1サイトの記事の一部)

 【既報関連】ボルソナロ大統領やその支持者らが2018年選挙の結果や電子投票機の信憑性などに疑問を唱え続ける中、国防相らが28日に選挙高裁を訪問した。アレッシャンドレ・デ・モラエス長官が選挙システムとその透明性などを説いたと28日付現地サイトが報じた。
 選挙高裁訪問への招待状は、大統領選候補者や政党の代表、政府関係者などに送られたが、大統領選候補らは来なかったようだ。
 他方、ブラジル弁護士会(OAB)や連邦監査事務局(CGU)の代表者、パウロ・セルジオ・ノゲイラ国防相、ボルソナロ氏所属の自由党(PL)のヴァルデマル・コスタ・ネット党首その他の政党代表者らが選挙高裁を訪れ、開票室を見学。電子投票機や開票作業の説明などを受けた。
 ボルソナロ派は開票室を「密室」「暗室」と呼び、不正の巣のように語っているが、モラエス長官は「開票室は明るく、開放されており、密室でも暗室でもない」と語った。開票・集計部門は選挙高裁情報技術局の管轄だ。ガラス張りの開票室には同局の技術者だけでなく、検察や弁護士会、連警、政党や軍関係者、国外の選挙監視機関構成員などが自由にアクセスできる。
 開票・集計作業は投票時間終了後に発行される投票機毎の投票内容報告書(BU)をコンピューターが解析する形で進み、人の手は加わらない。BUは投票機毎の投票者数や投票内容をまとめたもので、開票結果はリアルタイムで公表される。BUの内容は選挙高裁のサイトからアクセス可能で、政党の監視員などにも手渡される。
 これらの措置は、トランプ前米国大統領が選挙結果を受け入れずに起こしたような混乱回避のためでもある。
 今年の投票時間は開票作業迅速化のため、時差がある地域でも、ブラジリア時間の8~17時に統一された。また、安全性や透明性確保のため、投票ブースへの携帯電話持込み禁止や銃の携行規制なども定められている。
 今年の有権者は18年比で6・21%増の1億5600万人で、電子投票機も57万7千台以上に増えた。聴覚障害者向けの手話での説明、視覚障害者用の音声ガイドと投票機への点字表記など、何らかの障害ありと申請した有権者120万人以上の人への配慮もなされている。

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