サッカーW杯開催まで2カ月を切った。セレソン(ブラジル代表)は、最終調整として9月下旬にガーナ、チュニジアと親善試合を行った。この両試合を見る分には、今大会のセレソンには、かなり期待ができそうだ。
コラム子がそう感じる理由は、「歴代屈指」と言える強烈な攻撃陣の存在がある。有名クラブ所属のタレントがとにかく豊富なのだ。
3大会にわたって不動のエースを務めるネイマール(PSG)に加え、親善試合には招集されなかったが、本大会でのセンター・フォワードが期待されるガブリエル・ジェズス(アーセナル)。両ウイングにはラフィーニャとヴィニシウス・ジュニオルという、スペイン・リーグの2巨頭バルセロナとリアル・マドリッドのレギュラーが揃う。
これだけでも他の国からすればかなりの脅威だが、センター・フォワードに親善試合3得点の大活躍を見せたリシャルリソン(トッテナム)もいる。ウイングにはさらにアントニー(マンチェスター・ユナイテッド)やロドリゴ(レアル・マドリッド)だ。
代表候補には、フィルミーノ(リヴァプール)、ガブリエル・マルチネッリ(アーセナル)、マテウス・クーニャ(アトレチコ・マドリッド)といった強豪クラブの主力選手も挙げられているが、人員過多で招集されるかは微妙な線だ。他の国にすれば贅沢すぎる悩みに映るだろう。
国内組からは、リベルタドーレス杯でダントツの成績で得点王となったペドロ(フラメンゴ)がいることも忘れてはいけない。
こうした歴代屈指の攻撃陣が編成された背景には、2014年W杯の反省があるからのようにコラム子には思える。2014年W杯は自国開催のブラジルがドイツに1―7で大敗した、ブラジル国民にとっては非常に苦い記憶として焼き付いている。
このときのフォワードメンバーは、ネイマールにフッキ、フレッジ、控えにジョーという顔ぶれだった。当時、ネイマールこそバルセロナに所属していたが、フッキはロシア・リーグのゼニト、フレッジやジョーは欧州リーグで通用せず国内リーグのエースをしていた。
守備陣にはレアルやバルセロナ、チェルシーの選手がいて、世界でも屈指と評価されていたが、攻撃陣の威圧感は国際的に見ても物足りず、当時まだ22歳の若さだったネイマール頼みだった。
戦力不足の攻撃陣編成の反省が、今回のスペインやイングランドの強豪チームのエース格ひしめく超豪華攻撃陣を生み出した。
今年のセレソンに関しては、優勝を信じる国民の声が過去2回よりかなり強い。さらにこうした選手たちの大半が年若く、26年大会でも活躍できそうなのが心強い。
ブラジルの初戦は11月24日、対セルビア戦。歴代屈指の攻撃陣がどんな活躍を見せるのか期待は高まるばかりだ。(陽)