2日、大統領選の一次投票が行われ、ルーラ元大統領(労働者党・PT)とボルソナロ大統領(自由党・PL)の二人が決選投票に進んだ。世論調査では一次投票でルーラ氏当選の可能性も報じられていたが、ボルソナロ氏が巻き返したこともあり、有効投票で過半数に約1・5%足らずに逃した。2、3日付現地紙、サイトが報じている。
大統領選の投票は17時に終わり、電子投票の集計により午後9時過ぎには大勢が判明した。開票当初はルーラ氏が52%ほどを獲得して優勢が伝えられたが、すぐにボルソナロ氏が逆転。開票20%ほどの時点ではボルソナロ氏が48%ほどで、ルーラ氏が43%ほどだった。
この時点では、サンパウロ州知事選でのフェルナンド・ハダジ氏(PT)をはじめ、ルーラ氏が推薦する知事候補らが苦戦しているとの数字が続々と入り、かなり予想外の展開である印象を強めていた。
だが、大統領選の開票序盤はボルソナロ氏がかねてから強かった連邦直轄区やマット・グロッソ州といった中西部が中心だったため、ルーラ氏が強い北東部の開票が本格的になると差は徐々に詰まりはじめ、午後8時ごろ、開票70%の時点でルーラ氏が逆転。その後も差を広げていった。
結局、有効投票の48・43%、5725万7473票を獲得したルーラ氏と、43・20%、5107万1106票を獲得したボルソナロ氏の二人が決選投票に進んだ。
棄権者は20・9%で前回選挙を上回ったが、ルーラ氏の獲得票数は2018年にボルソナロ氏が決戦投票で獲得した票数をわずかに50万票下回るという、大統領選歴代3位(1位は2006年決選投票時のルーラ氏)となった。
2候補がともに5千万票を超えたのも、2014年のジウマ氏とアエシオ・ネーヴェス氏との決戦投票以来、史上2回目となった。このことから、有権者の「ルーラ氏対ボルソナロ氏」への関心の高さをうかがわせる。白票・無効票は4・41%と、1994年の大統領選以来の低率となった。
一次投票でのルーラ氏は北部、北東部、ミナス・ジェライス州の計14州、ボルソナロ氏は中西部、南部とMG州を除く南東部、連邦直轄区でそれぞれ優勢となっている。
北部、北東部、中西部、南部に関しては世論調査で報じられていた通りだったが、南東部の予測が外れたことで、ダッタフォーリャをはじめとした世論調査機関に対し、ボルソナロ氏の支持者から批判の声が飛んでいる。
サンパウロ州で見ると、ルーラ氏は市としては全国一の票田であるサンパウロ市でこそ47・54%を獲得して37・99%のボルソナロ氏を10%ポイント近く上回ったが、州内では645市中516市でボルソナロ氏が勝っていた。リオ州ではリオ都市圏でボルソナロ氏が圧倒していた。
決選投票は今月30日で、3位のシモーネ・テベテ氏(民主運動・MDB)の4・2%や4位のシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)の3・1%、5位のソライア・スロニッケ氏(ウニオン)と6位のフェリペ・ダヴィラ氏(ノーヴォ)の各0・5%の票がどちらに流れるかが注目される。
□ミニ関連コラム□
ボルソナロ政権の関係者が多くの票を獲得して当選する中、それがかなわなかった大統領支持者も少なからずいた。最高裁攻撃発言で出馬禁止となったダニエル・シルヴェイラ氏の上議選出馬が認められなかったほか、大統領長男フラヴィオ氏のラシャジーニャ疑惑で逮捕されたファブリシオ・ケイロス氏がリオ州議、クロロキン推奨の医師ニゼ・ヤマグチ氏や中国人差別などで物議を醸したアブラアン・ワイントラウビ氏が下議選で落選。ボルソナロ氏と袂を分かった人では、18年に女性下議最多得票者だったジョイセ・ハッセルマン氏やアレッシャンドレ・フロッタ氏が再選を逃した。
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大統領選では諸外国に在住するブラジル人による投票も行われ、こちらでも、開業率99・15%の段階でルーラ氏がボルソナロ氏を47・13%対41・63%という、ブラジルでの結果に似た数字でリードしていた。ボルソナロ氏が勝った国は44カ国(ルーラ氏は79カ国)あり、その中に日本が含まれている。とりわけ、東京では64%と圧倒的な強さだった。ボルソナロ氏が勝利した国にはイスラエルや米国、ベネズエラなどがある。
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