《ブラジル》教育省の年間予算の11%凍結=連邦大学などが揃って抗議=大統領「文盲多い州がルーラ支持」

連邦政府による連邦大学への支出凍結の通達(Facebook)

 教育省の予算を累計で24億レアル凍結すると、ボルソナロ政権が5日に発表した。これは同省予算の10%を超える額で、連邦大学その他の教育関係者からの批判が高まっている。また、ボルソナロ大統領はこの日、大統領選で自分への投票率が低かった北東部の人たちを「文盲」と呼び、物議を醸した。5、6日付現地紙、サイトが報じている。
 9月末に発表された連邦大学予算の凍結額増額は、5日に連邦大学に届いた通達で明らかになった。今回の予算凍結は教育省や連邦大学への支出だけにとどまらず、議員割当金や予算案審議で報告官を務めた議員の裁量で支出される「報告官手当」(通称「秘密予算」)なども含まれている。秘密予算の支出カットは68億レアルで、アルトゥール・リラ下院議長を怒らせている。
 教育省の凍結額は予算年額の11・4%に相当し、連邦大学といった教育機関では、非義務的支出の5・8%が凍結されることになる。これにより、連邦大学その他の教育・研究機関や職業訓練機関への予算は累計で3億レアルを差し止められたことになる。これらの機関は6月時点で既に1億4700万レアルを凍結されていた。今回の凍結で、連邦大学の予算額は計7億6300万レアルが差し止められたことになる。
 この凍結に対しては教育機関からの批判が相次いでいる。専門・科学・技術教育の連邦機関の全国評議会(Conif)は「このようなめちゃくちゃな財政・経済政策で損害を被るのは学生だ。学生たちの交通費や食費、インターネット、携帯電話のチップ、奨学金にも金がかけられなくなる。研究継続も危うくなる」と警鐘を鳴らした。
 連邦大学学長らが参加する連邦高等教育機関理事会(Andifes)も、「肉ではなく、骨を切らねばならない」とし、「この予算では年の終わりまで活動できるか疑問だ」との抗議声明を発表している。
 全国学生連合(UNE)も連邦政府からの通達をSNSに直接貼り付け、「連邦大学の資金は1センターボも残らなくなる」と抗議し、ネット上で大きな話題を呼んだ。
 ボルソナロ政権の教育支出削減にはかねてから批判が強かった。2021年には市の保育園設立の費用がテメル政権最終年の2018年比で80%減の1億100万レアルに抑えられ、2023年の教育支出も10億レアルが削減されている。
 この教育支出削減が物議を醸した夜、ボルソナロ大統領は 「ルーラ氏が大統領選で勝った州のうち、九つは文盲率ワーストの州だ」として、北東部を文盲と結びつけて批判して物議を醸した。
 2日の大統領選一次投票での北東部の平均得票率は、ルーラ氏67%、ボルソナロ氏26・8%だが、ボルソナロ氏は今回、その北東部で前回選挙より軒並み10〜20%、票を伸ばしてもいた。
 昨年行われた国家高等教育試験(ENEM)の作文で1千満点を獲得した学生は10人だが、うち8人は北東部の学生だった。

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