《ブラジル》サル痘の感染者8340人=死者は4人目、ワクチン到着=コロナほど広がらず致死率低

サル痘のウイルス(Debora F. Barreto-Vieira/IOC/Fiocruz)

 【既報関連】ミナス州ポウゾ・アレグレ市役所が9日、同市在住で21歳の男性がサル痘のために亡くなったと発表したと同日付現地サイトが報じた。
 市役所によると、この男性は9月11日に入院して治療を受けていたが、基礎的疾患があり、重症化したという。同市ではこの男性を含む4人の感染が確認済みで、確認中の疑似症患者も1人いる。また、検査を受けて感染が否定された人も45人いるという。
 今回の死者はミナス州では2人目、ブラジルでは4人目(他の2人はリオ州)だ。7日現在の全国の感染者は8340人、疑似症患者は4586人いる。感染者最多はサンパウロ州の3843人で、リオ州1120人、ミナス州514人と続く。
 サル痘感染は抱擁やキス、性交、マッサージなどの直接的な接触の他、飛沫感染、患者が使った服や寝具、日用品、飛沫がかかった物の表面に触れる事でも起こり得る。
 サル痘の予防には天然痘などのワクチン接種が有効だが、世界保健機関が集団接種は不要との見解を表明した事もあり、ブラジル保健省も患者と長期間接触している医療従事者や濃厚接種者用のワクチン約5万回分を購入するにとどまっている。保健省は9月中にワクチン到着と語っていたが、実際には最初の9800回分(研究用)が4日に届いた。残りは年内に届く予定だ。
 購入したワクチンがブラジルでも有効かを確認するための調査・研究はオズワルド・クルス財団(Fiocruz)が行うが、患者数が多く、施設が整っている都市の研究所も対象に加わる見込みだ。
 ブラジルでのサル痘流行は新型コロナほど迅速かつ広範ではなく、致死率も低い。だが、身近な人や場所での患者発生情報、マスク着用に手指消毒、社会的な距離確保などの防疫対策はコロナ禍同様のストレスや精神障害を生む可能性がある。
 ブラジル精神医学会(ABP)のルイス・カルロス・コロネル氏は昨年の調査により、コロナ禍のストレスなどが原因で、うつ病患者が総人口の11・3%に至った事や、アルコールその他の薬品類の使用量が増えた事、外出規制などで家庭内暴力が増えた事が判明したと発表した。万が一、サル痘でも自宅待機などが起きれば、うつ病を誘発するストレスが増えることが予想される。

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